
大切な家族の一員であるペット。家で過ごす時間が長いからこそ、快適に、そしてのびのびと過ごしてほしい……。
そんな愛をこめた家づくりに取り組んだ人に登場いただく「ペットと家」。第2回は、保護した猫とともに暮らすための家をつくり上げたみんさんのご自宅を紹介します。
関東地方で、夫婦+猫3匹で暮らすみんさん。猫の快適さを追求し、そのお世話をする人間にもやさしい家づくりで生活の質も向上しているとのこと。いったいどのような工夫をこらしたのでしょうか?
初めまして、みんと申します!
2020年9月に完成した関東地方にある自宅で、夫と保護した猫3匹(にゃん吉、福、ちゃた朗)と暮らしています。3匹とも、もともとは“外”にいた猫で、わが家で保護したり譲渡会で出合ったりして迎え入れました。

今では「猫のための家」で3匹と楽しく暮らしている私たち夫婦ですが、つい数年前までペットの飼育経験すらありませんでした。
きっかけは、夫と家を建てようかと話していたころ、アパートの庭に迷い込んだにゃん吉を保護したこと。この家に住み始めてから多頭飼いも可能な環境になり、福とちゃた朗を迎えて現在は猫3匹が暮らす家になりました。
今回は“猫飼い初心者”だった私たち夫婦が、どんなところにこだわって家づくりを進めたのかをお話しします!

みんさん邸の間取図
※気調室……全館空調のための空調設備を設置している部屋
【目次】
- 吹抜け、全館空調、リビングイン階段……家じゅうに猫のための工夫がいっぱい
- SNSやブログ、専門書が“猫飼い初心者”の家づくりをサポート
- 猫の暮らしとヒトの暮らし、どちらも大切にするために
- お世話や家事の負担を減らす工夫で、猫と過ごす時間を確保
- 猫たちがのびのびと生活しているのを見られ、幸せを実感
吹抜け、全館空調、リビングイン階段……家じゅうに猫のための工夫がいっぱい

まず、私が一番こだわったのが「吹抜け」。猫はジャンプが得意ですし、壁にキャットステップやキャットウォークを付けて室内飼いでもストレスがないようにしてあげたいという思いがありました。

さらに吹抜けには落下防止のためにネットを付けました。安全対策はもちろんのこと、ここでお昼寝している姿が最高にキュートで……。キャットウォークでお昼寝している姿にもとっても癒やされます。

ちなみにノーマルな形のステップだけでなく、月や星の形をしたかわいいステップも付けたのですが、高いところにあるのでたまにしか上ってくれません(笑)。

もう一つ、こだわったのが「リビングイン階段」にしたこと。
リビングイン階段は2階に上がるために必ずリビングを通る必要があるため、家族が顔を合わせられるというメリットがあります。そして猫飼いにとっては階段と玄関をダイレクトにつなげずに、リビングと扉を挟むことで脱走防止に役立つという一面も。
リビングイン階段や吹抜けを設けると空間が広くなるため、冷暖房効率が悪くなるというデメリットもありますが、わが家は全館空調を導入したので気になりません。
極端な暑さや寒さを防いで猫への負担を減らすために導入したのですが、なかなかエアコンでの温度調節が行き届かない廊下やトイレ、洗面所なども常に快適な温度に保たれていて、人間にとっても予想以上に快適。

猫たちは、家じゅう好きな場所でくつろいでいる姿を見かけるようになりました。換気のために窓を開けて脱走されたり、暑さで熱中症になったりといった心配がないのも全館空調にして良かったと思うポイントです。

階段のそばには、依頼した建築会社さんのすすめもありスキップフロアをつくりました。畳が敷いてあってごろ寝もできるスペースで、キャットステップが近いことから猫たちがのんびり過ごしていることも。
猫と畳は粗相や爪とぎの面で相性が悪そうと思われるかもしれませんが、わが家は夫の希望で2階の主寝室にも畳を敷いています。和紙をより合わせて畳表に張った「和紙畳」は、い草の畳よりも耐久性が高く、汚れても固く絞った雑巾で拭くだけとお手入れも簡単なので、当初のイメージよりキレイな状態をキープできています。

ただ現在の主寝室は「ちゃた朗の専用部屋」に。ちゃた朗は保護したときから持病があり、ほかの猫たちと離れて静かに過ごせるスペースが必要だったため、日当たりのよい主寝室をちゃた朗の部屋として使い、私と夫は洋室を寝室として使っています。
改めて、とことん猫優先の家ですね(笑)。
SNSやブログ、専門書が“猫飼い初心者”の家づくりをサポート
今では猫優先の家に住んでいる私たちですが、もともとは「老後は犬や猫を飼ってのんびり過ごしたいね」くらいの考えで、ペットを飼う予定はありませんでした。
家についても、本格的に検討しはじめた2018年の秋ごろには、ごく普通の家を建てるつもりだったんです。
しかし家の情報収集をしていたタイミングで、気持ちが落ち込む出来事があって。なかなか元気になれない日が続いていたのですが、そんなときにアパートの庭に迷い込んできた「にゃん吉」との触れ合いが、落ち込んでいた私の心を和らげてくれました。

どうせ家を建てるなら、ここまで私を元気にしてくれたにゃん吉が快適に過ごせる空間をつくろう! と決め、夫も「みんを元気づけてくれたにゃん吉のためなら!」と大賛成。
そうして始まった「猫のための家づくり」。右も左もわからない私たちがまず参考にしたのは、実際に猫の生活を重視した家づくりをしている人のSNSやブログでした。
例えば「自分たちのトイレと同じ場所に猫用のトイレを置く」というアイデアはSNSを参考にしました。

猫用のトイレはどうしても砂の飛び散りやにおいが気になるので、1階のトイレを広めに設計。掃除もしやすいし、リビング内に砂が散らかることもなくなりました。
キャットステップの設置については『猫のための家づくり』(エクスナレッジ)という本も参照。こういったSNS・ブログ、本などの情報は建築会社へのイメージ共有にも役立ちました。
猫の暮らしとヒトの暮らし、どちらも大切にするために
そのほか、猫との暮らしをより快適に送れるよう工夫したポイントをまとめて紹介します。

猫の侵入や事故を防ぐため、キッチンの出入口にはドアを付け、リビング・ダイニングから独立したつくりに。以前住んでいたアパートはLDKが一体になった間取りで、にゃん吉がキッチンに入り込んでしまうこともあって心配だったんです。

現在の家は空間としては独立しているものの、室内窓を付けてもらったので、リビングで過ごす猫たちの姿を見ながら家事ができてうれしいです!

キッチンの隣にはパントリーを設け、簡単なカウンターも付けました。このカウンターは家事スペースとしてはもちろんのこと、簡易的な食事スペースとしても役立っています。
これもアパート時代の経験からですが、お刺身など猫の好物が食卓に並ぶと、どうしても猫たちが寄ってきてしまうんですよね。夫と二人で食事を取るときにはどちらかが猫の相手をして交代で食事ができますが、夫が仕事で遅い日など、一人で食事を取るときにはそれも難しい。
そこでこのカウンターです。テーブルとしても使えるくらいの広さにしたので、ここで猫たちから隠れて食事していることも多いです(笑)。

猫に触ってほしくないものはしまっておけるよう、小屋裏や床下収納など、収納スペースは多めに設けました。

ただ空間から完全にシャットアウトするわけではなく、例えば床下収納には私たちが入るための入口のほかに猫用の小さな出入口も設けました。今はまだモノが少ないのでマンガが読める秘密基地のようなスペースになっていて、私がここにいると猫たちが入ってきて一緒に過ごすこともあります。
お世話や家事の負担を減らす工夫で、猫と過ごす時間を確保
猫との暮らしがより快適になるよう、人間の負担を減らすことも心掛けました。

猫との暮らしで苦労しがちなのがお掃除。抜け毛や猫砂などで部屋が汚れやすいので、掃除機のほかにロボット掃除機を1階と2階それぞれに設置しているほか、床拭きロボットも活用してきれいな状態をキープできるようにしています。
ロボット掃除機の使用を見越して、ソファやTVボードといった家具の脚の長さも「お掃除ロボットが通れる高さ」を条件にして選びました。

また「猫と遊べる時間を増やしたい!」という思いから、極力家事の負担を減らすため海外製の高性能な食洗機や、ボタンを押すだけで自動洗浄してくれるレンジフード「洗エールレンジフード」も導入しました。
猫を飼っている家で起こりがちな「壁や家具での爪とぎ」に対しては、壁紙を使わず吹き付け塗装にし、そもそも剥がれや傷みが起こらないようにしました。
無垢(むく)材の床などはどうしても爪で傷んでしまいますが、猫たちが過ごしやすいのが一番! と、あまり気にしていません(笑)。むしろ持ち家になったことで、猫たちが家を傷つけても大丈夫! と、おおらかに構えられるようになりました。
猫たちがのびのびと生活しているのを見られ、幸せを実感

「猫が住みやすい家にしたい!」という私の希望を詰め込んだこの家。
私は特にリビングがお気に入りで、家にいる時間の多くをリビングで過ごしています。猫たちも吹抜けのキャットウォークやスキップフロアなど思い思いの場所でのんびりしたり、じゃれあったりして過ごしていて、キャットウォークからこちらを見下ろしていたり、私のそばでくつろいでいる姿を見ると「幸せだなぁ……」と感じます。
アパート時代は猫を飼うための空間ではなかったので、行動を制限せざるを得なかったり、窓の開け閉めだけでも気をもんだりと不便なことが多かったです。もともと外で走り回っていたところを保護されて家猫になったので、思うように運動ができずイライラしているのを感じることもありました。
今の家へ移ってからはイライラしている姿を見ることもなくなり、猫の数は増えたもののそれぞれがのびのびと暮らせているのを実感。「猫のために」といろいろな希望をかなえたため予算も上がってしまったのですが、満足のいく家が出来上がったと感じています。
保護猫たちは日本中にたくさんいます。こうした保護猫を一匹でも家に迎え入れられれば、その子のいたところへ別の保護猫が入れるはず。外で危険な目に遭う猫たちを一匹でも減らし、幸せに過ごせるような世界に、この家が少しでも貢献できていたらうれしいなと思っています。
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編集:はてな編集部