コロナ禍によって、私たちの暮らしは大きく変わりました。在宅時間が増え、手洗いや換気に気をつけるようになった人も多いでしょう。このような変化は、住まい選びや注文住宅のあり方にどのような影響を与えたのでしょうか? リクルートが実施したアンケート結果をもとに、一級建築士のYuuさんにも話を聞きながら、ニューノーマルな家づくりについて考えます。
根強い人気の注文住宅、コロナ禍による影響は?
2021年3月、リクルートではコロナ禍での家選びの実態を知るために、Webアンケートを実施しました。その結果を見ると、コロナ禍が注文住宅の間取りや求められる設備に影響を与えていることがわかりました。
コロナ禍で建築予定時期や建築意向に影響はあった?
まず、新型コロナウイルスの流行によって注文住宅の「建築意向」や「建築予定の時期」に影響はあったのかどうかを見てみましょう。
新型コロナウイルスの流行によって注文住宅を建てたい気持ちが強くなった人の割合は20.2%、逆に建てたい気持ちが弱くなったという人の割合は9.4%でした。
また、新型コロナウイルスの流行によって注文住宅の建築時期を早めたいと思った人の割合は21.5%ですが、逆に遅らせたいと思った人の割合は13.6%。建てたい時期は変わらないという回答が過半数を占めますが、新型コロナウイルスの流行は、注文住宅の建築意向を強め、建築時期を早めるのに多少の影響があったことが見て取れます。
コロナ禍だからこそ注文住宅を選ぶ理由とは?
コロナ禍だからこそ注文住宅を建てたい思いが強まった、早く建てたくなったという人は、どのような理由を挙げているのでしょうか。その一部を紹介します。
- 注文住宅はもともと購入をしたいと考えており、子どもが産まれて現在の住まいが手狭に感じていることから、コロナ禍は関係なく購入しようと思ってた。ただ、コロナ禍により在宅での仕事の方が多いので、快適に仕事や暮らしをするためにも、戸建ての注文住宅を建てたいという気持ちが強くなった (男性30代)
- 家にいる時間が長い今だからこそ、自分にあった家がほしいので(男性30代)
- ニューノーマルに対応した住環境を構築にするために、設備やスペースをどのようなものにするか考えながら対策した方がいいと思うから(男性40代)
- マンションだと他の住民との接触がある。そのため、一軒家に住みたいという希望が強くなった。またリモートワークが実施しやすいスペースもほしいと感じており、自由に間取りが考えられる注文住宅にしたいと感じ(女性20代)
- 在宅ワークが増え、書斎のような役目の部屋の必要性が生じた (女性50代)
コロナ禍だからこそ注文住宅を建てる理由として、ニューノーマル下での生活基盤の見直しや、他人との接触機会を減らしたいことなどが挙がっている。
一級建築士として、日々多くの顧客に接しているYuuさんは「お家時間が長くなったことで、家の中のさまざまな不便や不具合に気づいた人も多い」と言います。
「『今までの家では物足りない』『もっとこんな家だったら』と思う人にとって、注文住宅ならニューノーマルな時代を幸せに過ごせる家づくりがしやすい、という期待があるのではないでしょうか」(Yuuさん、以下同)
コロナ禍以降、どのような住まいが求められている?
これまで見てきた通り、コロナ禍は住まいに対する意向や考え方に大きな影響を与えているように思えます。しかし、注文住宅を建てた人・建てたいと考えている人のニーズの中には、コロナ禍だからこそ高まったものもあります。
注文住宅でこだわった/こだわりたい場所は?
「コロナ禍だからこそ」と限定せずに、注文住宅でこだわった、またはこだわりたい場所を聞いたところ、「キッチン」と「リビング」が上位に挙がっています。
注文住宅でこだわった/こだわりたい場所、コロナ禍だからこそこだわった/こだわりたい場所
コロナ禍によってニーズが高まったのは?
一方で、コロナ禍だからこそニーズが高まった場所もあります。
先の図表にある通り、コロナ禍だからこそこだわった、またはこだわりたい場所として「洗面」や「ワークスペース」が上位に挙がっています。この2つは、コロナ禍に関係なくこだわった場所では上位に挙がっておらず、まさに新型コロナウイルスの流行によってニーズが大きく高まったことが予想できます。
「洗面も、ワークスペースも、コロナ禍によって大きく変わった生活スタイルと密接にかかわる場所です。清潔志向の高まりが、洗面へのこだわりに、また、テレワークに代表されるワークスタイルの変化が、ワークスペースへのこだわりとして表れています」
「洗面」にこだわる人の意見を紹介!
コロナ禍でこだわった、またはこだわりたい場所を複数選ぶ問いでは、「リビング」や「キッチン」を抑えて第1位となった「洗面」。それでは、「洗面」にこだわる(こだわりたい)人は、どのような理由で、どのようにこだわった(こだわりたい)のでしょうか。
- 洗面スペースを2カ所設置。脱衣所と別にして独立させた。あと一つは玄関に設置して、帰宅後すぐに手洗いできるようにした(男性30代)
- 外から帰ったときにウイルスを入口や玄関でシャットアウトできる設備のある家がとても欲しいと感じていたので、接触感染リスクをできるだけ軽減するために、帰宅してすぐに手洗いやうがい、入浴等ができるように洗面を設置した(男性30代)
- コロナにおける手洗いやうがいの重要性を考えれば、その機能やスペースに何かしらのアイデアを取り入れるのがいいのではないかと考えたから(男性40代)
- 玄関から近くに配置して、すぐ手洗いができるようにした(女性30代)
- コロナ対策で、自動の蛇口等。また、紫外線による殺菌場所の確保(男性60代)
- 帰宅したら手が洗え、脱衣所の隣となる場所にし、洗面ボールは大きめ、大人2人が並んでも狭くない広さにした(女性30代)
「帰宅後すぐに手洗いできるように」という意見が目立つ。そのほかには、自動水栓へのニーズも見られる。
ワークスペースにこだわる人の意見を紹介!
また、ワークスペースにこだわる(こだわりたい)人は、どのような理由で、どのようにこだわった(こだわりたい)のかを見てみましょう。
- 在宅ワークで子どもを面倒みながらもちゃんと仕事もできるスペースを確保したい(男性30代)
- リモートワークがしやすい場所や大きさを検討した(女性20代)
- ウェブ会議など、相手にこちらの様子が映り込むときには、綺麗な空間が映るように演出したい。デスクや椅子も、長い時間になっても、疲れないものにしたい(女性40代)
- オフィスではないので、そのためだけの部屋をつくるのはもったいないと思い、ホールを広めに取り机や本棚を置いて「多目的ホール」な中で仕事ができるようにした(女性40代)
- 在宅勤務が増えており、リビングを見渡せる形、かつ、こもり感のあるロースタイルリビングをつくった(男性30代)
- パソコンとプリンターを常時置いておくスペースをつくり、スキマ時間にいつでも仕事ができるようにする(女性20代)
- 階段上のスペースをワークスペースとし、狭い空間でも文具や書類等収納できるよう、150cmの高さで棚を設置した。作業に集中できるよう、壁面の一部にグレー系の壁紙を貼り落ち着いた雰囲気にした。パソコン等の機器を多く設置するため、コンセントを多く設置した(女性40代)
「在宅勤務が増えたから」「テレワーク(リモートワーク)のために」という理由で、ワークスペースにこだわった(こだわりたい)という意見が目立つが、「こもって仕事したい」という意見もあれば、「スキマ時間に仕事できるように」という意見もあり、活用の仕方はさまざま。
コロナ禍だからこそ検討したい、住まいの工夫
「洗面」と「ワークスペース」の2つは新型コロナウイルスが住まいに与える影響として特に顕著ですが、Yuuさんは「ほかにもお家時間が増えたことで、さまざまな変化が起こっている」と言います。
「家族と過ごす時間が増えたり、家での食事が増えたり、光熱費が上がったり、といった変化があります。このような変化によって、これまで優先順位が低く見過ごしがちだったことが大切になったり、これまでにはない新しい視点が必要になったり、住まいに求める役割が増えています。そして、何を重要視するかは各家庭によって異なり、非常に多様化しています」
そこで、場所別に、こだわった(こだわりたい)人の意見を踏まえて、Yuuさんにニューノーマル下で検討したい住まいの工夫を教えてもらいました。
「洗面」の工夫
「洗面」に対しては「帰宅後すぐに手洗いできるように」という意見が目立ちました。
「ハウスメーカーの中には、玄関クロークでコートを脱いで、手を洗い、清潔な状態になってから部屋に入る、という動線を提案しているところもあります。洗面は、何も玄関のたたきに設ける必要はなく、居室までの動線上にあればいいでしょう。玄関は住まいの顔なので、もし玄関横に洗面を設けるなら、デザイン性の高いものを選ぶのがオススメです」
「リビング」の工夫
「リビング」にこだわった(こだわりたい)人の意見のうち、少なからずコロナ禍が影響していると思われる意見をピックアップすると、次のようなものがありました。
- 換気やスペースの確保などを考えたつくりや仕切りなどをつかえるような仕様にするのがいいのではないかと考えている(男性40代)
- なるべく壁をつくらず、広い空間にたが、プライバシーのことも考え、アコーディオンのような仕切りをつけた。また、シーリングライトを二つ、間接照明を二つつけて、その時々で使い分けられるようにした(男性30代)
- 開放的であること 天井高が高いこと 空気の流れがあること(男性40代)
コロナ禍だからこその「リビング」へのこだわりとして、「換気」や「仕切り」にこだわった(こだわりたい)という意見があった。
「コロナ禍以前、リビングは広く明るく、居心地よく、家族が集まりやすいように工夫することが大切とされてきました。ニューノーマルでは、それらに加えて、換気のしやすさやフレキシブルな使い方が求められています。
常に家族が家の中にいる状況では、『一人の時間がほしい』と思うこともあるでしょう。そうなると、広いリビングを必要に応じて区切って使えた方が便利です。同じリビングにいながら、一人はゲームをして、一人はタブレットで動画を見る、一人はお酒を楽しみ、一人はテレビの前でオンラインヨガをするというように、これからはリビングも多様な使われ方への対応が求められるでしょう」
キッチンの工夫
「キッチン」にこだわった(こだわりたい)人の意見のうち、少なからずコロナ禍が影響していると思われる意見をピックアップすると、次のようなものがありました。
- 外食する機会が減って家で食事をすることが増えるのでキッチンの設備を充実させたり、筋トレなどができるフリースペースを設けました。在宅時間が長くなる分、光熱費が増えてしまうのを避けたいので、太陽光発電システムと関連付けました(男性30代)
- アイランドキッチンで子どもと一緒に料理ができること(男性30代)
- 白いスペースで調理しやすいこと。パントリーの容量を大きくすること(男性50代)
- 現在の住まいが狭いため、大人2人でも狭くないようにしたい。使いやすい収納やパントリーが欲しい。キッチン家電が多いので綺麗に並べられればと思う(女性30代)
複数人で調理がしやすいことや、パントリーなど収納に対してこだわる意見があった。
「お家時間が増え、夫婦や親子でキッチンに立つ機会が増えたため、複数人で使いやすいキッチンを求める声をよく聞くようになりました。そういった場合にオススメなのは、キッチンカウンターに段差がなく、反対側からもスムーズにお手伝いできるフラット対面式のキッチンです。アイランド型キッチンも、お互いにすれ違うことなく炊事ができるので複数人で使いやすいのですが、小さい子どもがいる家庭ではペニンシュラ型の方がベビーゲートを設置するなどしてキッチンへの子どもの出入りをコントロールしやすい利点があります。
また、買い置きをすることで、買い物頻度を減らしたいという人や、通販を頻繁に利用する人は、必要なものをストックしておけるパントリーがあると便利でしょう」
ワークスペースの工夫
ワークスペースに関しては、「こもって仕事したい」という意見がある一方で、「スキマ時間に仕事できるように」といった意見もあり、活用の仕方はさまざまでした。
「ワークスペースのあり方は、家での働き方によって変わってきます。ウェブ会議を頻繁にするなら、家族に邪魔されず雑音の入らないワークスペースの方がいいでしょう。一方で、家事をしながら在宅ワークをするなら、リビング・ダイニング・キッチンの一角にワークスペースを設ける方法もあります。今後、テレワークが続くかどうかわからないという人の場合には、ある程度フレキシブルに使えるスペースを設けておくといいですね」
ニューノーマルな家づくりのポイント
最後にあらためてYuuさんに、ニューノーマルな家づくりのポイントについて聞きました。
「お家時間が長くなると、家の中でどう過ごすかが人生の幸せに影響を与えます。家は、家族で幸せに過ごせて、レジャーが楽しめ、感染症や災害に対して安全であり、仕事も効率よくできるなど、さまざまなニーズに対応した場所であることが求められているのです。
さらに、各家庭によってニーズの優先順位は変わります。家の中でどう過ごしたいか、何を優先したいかを決めて家づくりに臨むこと。注文住宅ならば、多様なニーズにも柔軟に対応できるでしょう」
スーモカウンターに相談してみよう
「どうやって進めたらいいのかわからない」「建築会社はどうやって選べばいいの?」住まいづくりにあたって、このような思いを抱いているなら、ぜひスーモカウンターに相談を。スーモカウンターでは、お客さまのご要望をお聞きして、そのご要望をかなえてくれそうな依頼先を提案、紹介します。
無料の個別相談のほか、「はじめての注文住宅講座」や「ハウスメーカー・工務店 選び方講座」など、家づくりのダンドリや、会社選びのポイントなどが学べる無料の家づくり講座も利用できます。ぜひお問い合わせください。
調査概要
[調査実施時期]2021年3月11日(木)~3月13日(土)
[調査対象者]・注文住宅契約者(居住者含む):現在注文住宅に住んでいる人または、まだ住んでいないが既に施工の契約をした人のうち、2020年4月以降に施工の契約をした人
・注文住宅検討者:まだ施工の契約していないが、今後1年以内に注文住宅を建てようと考えている人
・注文住宅検討者のうち、コロナ影響で検討が早まった人または、注文住宅のニーズが喚起された人
[調査方法]インターネット
[有効回収数]208(注文住宅契約者(居住者含む)、注文住宅検討者)+52(注文住宅検討者のうち、コロナ影響で検討が早まった人または、注文住宅のニーズが喚起された人)
※無断転用禁止。引用の際はSUUMO(スーモ)編集部までご一報ください
イラスト/青山京子
一級建築士。長年、リフォームの現場で培った経験から、住宅リフォームコンサルタントとして幸せなリフォームを実現するためのノウハウを発信。セミナー講演や執筆活動、人材育成研修などを通し、消費者と事業者の間をつなぐかけ橋となるべく奔走している。毎日新聞での連載やwebサイト「リフォームのホント・裏話」で最新情報を発信中