注文住宅では、玄関からリビングや各居室に行く前に手洗いやうがいができるよう、玄関近くに洗面台を設置したいと考える方もいるでしょう。設置することで、菌や汚れを室内に持ち込むリスクを減らせるという大きなメリットがあります。
そこで今回は、玄関近くに洗面台を設置する間取りのポイントについて、ノアホームの飯塚拓也さんにお話を伺いました。快適で使いやすい家づくりの参考に、ぜひご覧ください。
目次
洗面台に対してどんな要望が多い?
コロナ禍を経て、「玄関の近くに洗面台・手洗いがほしい」というニーズが増えたという話を聞きますが、実際のところはどうなのでしょうか? また、その他の洗面台に対する要望としては、どのようなものがあるのでしょうか?
玄関近くの洗面台に対する要望
「確かに、コロナ禍で玄関近くに洗面台を置きたいというお客さまからの要望は増えました。家族で使う大きな洗面台を玄関の近くに一つ設けるパターンもあれば、家族で使う洗面台は別の場所にあって、小さな洗面台を玄関の近くに設けるパターンもあります」(飯塚さん、以下同)
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その他の洗面台に対する要望
「玄関の近くかどうかは関係なく、1階と2階に一つずつ洗面台を設けたいという声は多いですね。寝室の近くに小さな洗面台を設けて、ハミガキ専用にするといったケースもあります」
玄関近くに洗面台を配置するメリット
玄関近くに洗面台を設置すると、以下のようなメリットがあります。
- 帰宅後すぐに手洗いができて衛生的
- 来客時にも気軽に使用してもらえる
- 出かける前に玄関で身支度を整えられる
それぞれを詳しく解説していきましょう。
帰宅後すぐに手洗いができるので衛生的
「メリットとしては、やはり帰宅後すぐに手を洗える点が挙げられます。ウイルス対策はもちろんですが、コロナ禍以前から子どもに手洗いの習慣をつけたいという理由で、玄関近くに洗面台がほしいというニーズはありました」
来客時にも気軽に使ってもらえる
洗面台を使うのは家族だけではありません。玄関近くに洗面台があることで、訪問者も気軽に利用できる点がメリットです。親族や友人、知人が訪れた際に、玄関付近に洗面台があれば、手を洗いたいときにすぐに利用してもらえます。
なかには「手を洗いたい」と言い出しにくいと感じる人もいるかもしれませんが、玄関脇に洗面台があれば、自然な流れで手洗いができて便利です。
また、プライベートな空間を見せたくないという方にも、玄関付近の洗面台は有効です。脱衣所など家の奥にしか洗面台がないと生活空間を見せる必要がありますが、玄関付近にあればそうした心配もありません。
この場合、玄関近くの洗面台をトイレと兼用にして、動線を工夫することもオススメです。
出かける前に玄関で身支度を整えられる
玄関の洗面台に鏡を設置しておけば、出かける前にその場で手軽に身支度を整えることもできます。多くの方が外出時に身だしなみをチェックするでしょうが、玄関に鏡がない場合、居室に戻ったり脱衣所まで行ったりしなければなりません。しかし、玄関に洗面台と鏡があれば、外出前にその場で簡単に身支度を整えられ、日常生活の快適さが向上します。
また、急な来客時にも、玄関の鏡を使ってさっと髪やメイクを整えられるため、焦らず落ち着いて対応できるでしょう。身だしなみを素早く整えられる点でも便利です。
玄関近くに洗面台を配置することによる後悔やデメリット
続いて、玄関近くに洗面台を設置するデメリットをご紹介していきます。
- 洗面台のデザインや配置にも気を配る必要がある
- 洗面台が汚いと来客からの印象が悪くなる
- 設置するのにコストがかさむ
- 設置するスペースを確保する必要がある
- 水ハネにより床や壁が傷む可能性がある
など、複数の注意点があるので、それぞれを確認していきましょう。家づくりが完成してから後悔しないためにも、前もって後悔するポイントを理解してから、設置を検討してみてください。
洗面台のデザインや配置にも気を配る必要がある
「玄関は、その家の第一印象を決める重要な場所です。なので、そこにある洗面台がいまひとつだと、家全体の印象が下がってしまいます。玄関の近くに配置する場合は、見せる前提でデザインにこだわるか、もしくは見えないように隠す工夫が必要です」
洗面台が汚れていると来客の印象が悪くなる
玄関近くに洗面台があると、来客が手洗いをする際に便利です。しかし、水ハネや水垢、石鹸カスなどが目立つと、来客に悪い印象を与えてしまいます。特に、汚れだけでなくニオイが気になる場合、「不衛生」「使いたくない」と思われてしまう可能性もあります。来客との関係にも影響を及ぼす恐れがあるため、常に清潔な状態を保つことが大切です。
水まわりを清潔に保つためには、日常的な手入れが欠かせません。使用後に水気をしっかり拭き取るだけでなく、定期的に水垢や石鹸カスの除去、配管の掃除を行い、ニオイ対策にも取り組むことで、いつでも清潔で快適な洗面台を維持できます。
設置にコストがかさむ
玄関付近に洗面台を設置する場合、洗面室以外にも配管工事が必要になるため、コストがかさむ点には注意が必要です。給排水の配管工事に加え、お湯を使うための給湯器設置工事も必要となるため設置費用が増加します。そのため、衛生面や利便性だけでなく、コストも考慮しながら設置の必要性を慎重に考えましょう。
また、選ぶ洗面台の種類によってもコストは大きく異なります。既製品に比べて造作の洗面台はデザイン性やおしゃれさにこだわりすぎると、予算オーバーになる可能性もあります。そのため、予算内で収めるためには、洗面台の有無や種類を慎重に選ぶことが大切です。
洗面台の設置スペースを確保する必要がある
玄関付近に洗面台を設置する場合は、スペースの確保が必要です。洗面台の設置場所として廊下やシューズクロークが考えられますが、その分周辺のスペースが狭くなり、使いにくさを感じる場合もあります。
さらに、洗面台を設置する際には、鏡やタオル掛け、石鹸を置くスペースなども必要になりますが、十分なスペースが確保できなければこれらをうまく配置できず、使い勝手が悪くなる可能性があります。収納スペースが不足すると物が散らかりやすくなり、結果として不便を感じる可能性もあるため、事前の検討が欠かせません。
後悔を避けるためにも、必要な収納や設置物を事前に計画し、十分なスペースを確保できるかどうか確認してから設置を検討しましょう。靴箱と一体型の洗面ボウルなども選択肢として考え、自宅に合った洗面台を選ぶことが大切です。
水ハネにより床や壁が傷む可能性がある
玄関に洗面台を設置する場合、水ハネの対策が重要です。手洗い時に飛び散った水が床や壁に付着し、放置すると汚れが蓄積するだけでなく、長期間放置することでシミや腐食の原因にもなります。
そのため、床や壁には耐水性の高い素材を使用するなどして、劣化や汚れを防ぎましょう。特に水まわりはカビや水垢が発生しやすい場所でもあるため、こまめな掃除が欠かせません。きれいな状態を維持することが、床や壁のシミや腐食を防ぐ一番の方法です。
清掃やメンテナンスを怠らず、いつでも清潔に保つことで洗面台まわりの劣化を防ぎ、長く快適に使える環境をつくりましょう。
玄関近くの洗面台を計画するときのポイント
「玄関近く」と言っても、玄関からリビングや居室に至るまでと考えれば、配置にはさまざまなケースが考えられます。代表的なケースごとに、計画するときのポイントを見ていきましょう。
玄関の土間に洗面台を置くケース
「玄関の土間に大きめの洗面台があると、ご近所から野菜をもらったときなどに洗えて便利です。ただし、あまり目立たないようにレイアウトするのがポイント。例えば、土間収納を設けてその中に洗面台を配置し、土間収納からもリビングに行ける動線を確保すると便利です」
玄関ホールに洗面台を置くケース
「玄関ホールに洗面台を設置する場合は、デザインが重要です。玄関のテイストに合わせて色や素材を選びます。既製品ではなかなか難しいので、洗面台を造作することも考えましょう」
リビングや居室までの動線上に洗面室を設けるケース
「このケースも、来客から丸見えにならないようレイアウトするのがポイントです」
水まわりをまとめて玄関の近くに置くケース
「洗面・脱衣・浴室の水まわりを一つにまとめて、玄関からすぐ行ける場所に配置すると、帰宅後すぐに手洗い・洗顔はもちろん、服を脱いでお風呂にも入れます。花粉アレルギーのある人などは、室内に花粉を一切入れたくないという理由で、このような配置を希望することがあります」
玄関の近くに洗面台を設けた先輩たちのおしゃれな実例を紹介!
スーモカウンターで玄関近くに洗面台のある住まいを建てた先輩たちの実例を紹介します。その人たちが、どんな点にこだわり、どんな住まいを実現したのか、実例を参考に学んでいきましょう。
【case1】ファミリー玄関にデザインにもこだわった小型の洗面台を設置
妻の祖父が土地を手放すことになったのを機に、その土地を買って家を建てることにしたSさん夫妻。住宅展示場をまわってもピンとこなかったため、ショッピングモールで目にしていたスーモカウンターを訪れました。そこで、「見た目はシンプルでも、質の良い素材を使った家」という希望を伝えて紹介されたのは5社。そのなかから、自然素材を多用した自由設計の1社に依頼することにしました。
そうして完成した新居にSさん夫妻は大満足です。大容量の収納を備えたファミリー玄関には、手洗い用の小さな洗面台を設置。アクセントとしてタイルを使うなど、デザインにもこだわりました。
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むく床と漆喰仕上げの、自然素材が心地いい家
【case2】帰宅後すぐに手洗いできる玄関ホール横の洗面スペース
子どもが生まれたのを契機に「家族がのびのびと笑って過ごせる家にしたい」と家づくりをスタートしたSさん。フリーペーパーに掲載されているスーモカウンターの広告を見て、個別相談に行ってみることにしました。そこで、「ワンフロアで完結する生活動線で、フラットな平屋のプラン」と希望を伝え、紹介された6社のなかから後日3社と面談し、最終的にプラン面と予算面で柔軟性のある1社に依頼先を決定。
完成した新居は、家族みんながのびのびとできる理想の住まいです。玄関ホールの横、玄関からは直接見えない場所に洗面スペースを設けて、帰宅後すぐに手洗いができる間取りになっています。
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子どもが思いきり遊べる、スキップフロアのある平屋の家
【case3】玄関を入ってすぐの場所に洗面台がある夫妻のイメージにぴったりの住まい
結婚して間もなく、注文住宅の新築を考え始めたMさん夫妻は、イオンモール内のスーモカウンターを訪れました。希望は「夏は涼しく、冬は暖かい家。それに耐震性がしっかりしていること」。さらに、さまざまな工法に興味があることなどを伝えて、施工会社5社を紹介されました。後日そのなかから2社に絞り、担当者との相性がよく、耐震性や断熱性も信頼できた1社に決定。
完成した新居は、ほんわかとしたMさん夫妻のイメージにぴったり。玄関の飾り棚やアーチ型の壁がお気に入りです。広めの土間を設けて、入ってすぐの位置に洗面台を設置したので、来客の際も便利だと喜んでいます。
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忙しい共働きだけれど、慎重に会社選びを進めることができた!
【case4】コストにメリハリをつけた住まいの玄関に設けたコンパクトな洗面
「資産としての住まいを持とう」と決意したBさん。Bさん本人と長女は楽器を演奏するため、防音性の高い部屋は必須です。早速、家の近くのスーモカウンターを訪問して資金計画を立ててもらうことに。そこで、機能性を追求した狭小住宅が得意な会社4社を紹介してもらい、最終的に1社に絞り込みました。
住まいづくりを進める上で、こだわるところには予算をかけて、自分が納得できるところはグレードを落とすなどしてコストを調整。完成した音楽室のあるコンパクトな新居の1階には、コストを抑えるためにトイレをつくらず、楽器の手入れや、加湿器の給水、帰宅時の手洗いのための洗面ボウルだけを設置しました。
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音楽、猫、本、色……好きなものを13坪にぎゅっと詰めこんだ家
【case5】玄関ホールの近くにインテリアとしても可愛い洗面台を設置した家
共働きで忙しい毎日を送るFさん夫妻は、マイホームを建てたいと考え始めたものの、理想に合う土地がなかなか見つからず、一時は一戸建ての夢を諦めかけていました。しかし、スーモカウンターに相談したことで、多くの土地情報を提示してくれる建築会社と出合い、家づくりがスタート。そこからは順調に進められたといいます。
Fさん夫妻がこだわったのは、家事がしやすい水まわりの動線です。洗面室、ランドリールーム、浴室を2階に集約し、さらに玄関ホールにも洗面台を設置することで、帰宅後やトイレの後すぐに手を洗える間取りを工夫しました。玄関ホールに洗面台を置くため見た目にもこだわり、インテリアの一部として可愛らしいデザインの洗面台を採用したのがポイントです。
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土地探しに約3年、あきらめかけた夫婦がプロを頼り理想の家を実現
【case6】玄関からもトイレからも近い中間地点に洗面台を設けた家
Sさん夫妻は、自分たちの理想を詰め込んだ家づくりを実現したいと考えていました。バーカウンター風のキッチンや吹抜けのリビング、鉄骨階段など、あらゆる希望を実現し、大満足の家を完成させたといいます。
家事動線や帰宅後の動線にもこだわり、キッチンとダイニングは横並びのレイアウトにし、浴室の隣にランドリースペースを設置。洗面台はランドリーとは別の場所に配置しました。この設計により、入浴中でも他の人が洗面台を使える利便性を確保しています。
さらに、洗面台は玄関からもトイレからも近い位置に設置されており、帰宅後やトイレ使用後にスムーズに手洗いができるよう工夫されています。また、ランドリースペースが別にあるため、来客時にもプライベートなランドリー空間を見られずに済むというメリットも得られました。
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お酒が好きな夫婦が建てたバーカウンター風のキッチンがある家
玄関の近くに洗面台を配置する際のポイントは?
最後にあらためて飯塚さんに、玄関の近くに洗面台を配置する際のポイントを聞きました。
「玄関は住まいの第一印象を決める場所。その玄関近くに置く洗面台は、上手に隠すか、カッコよく見せるかです。正面からだけでなく、側面から見たときのデザインにもこだわってほしいですね。配管を見せるか隠すかも大事。配管を見せる場合は、汚れやホコリが目立たないようにこまめな掃除も必要になります。
水ハネ対策も考えておいたほうがいいでしょう。無垢材に水がはねてシミになるのが嫌な人は、壁や床をタイルにするなどして工夫することをおすすめします」
スーモカウンターに相談してみよう
「どうやって進めたらいいのかわからない」「建築会社はどうやって選べばいいの?」住まいづくりにあたって、このような思いを抱いているなら、ぜひスーモカウンターに相談を。スーモカウンターでは、お客さまのご要望をお聞きして、そのご要望をかなえてくれそうな依頼先を提案、紹介します。
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イラスト/いぢちひろゆき