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巾木や廻り縁をおしゃれに見せるには?素材・種類・色など後悔しない選び方を紹介

巾木(はばき)や廻り縁(まわりぶち・まわりふち)は、内装を仕上げる際に欠かせない重要な要素です。これらにはさまざまな種類があり、素材によって部屋の印象が大きく変わります。そのため、巾木や廻り縁についてしっかり理解したうえで、内装のプランを立てることが大切です。

そこで今回は、一級建築士でありインテリアプランナーでもある佐川旭さんに、巾木・廻り縁の基本的な知識や種類ごとの特徴、おしゃれな空間をつくるための選び方について伺いました。さらに、実際の実例もご紹介しますので、内装デザインで失敗したくない方はぜひ参考にしてみてください。

巾木とは? 廻り縁とは?

巾木や廻り縁は、部屋の印象に大きく影響を与える部材です。白や木目調をはじめ、さまざまな色のバリエーションがあり、素材やデザインの選択も可能です。工夫次第で、部屋をよりおしゃれに仕上げることができます。

では、巾木や廻り縁とは具体的にどのような部材なのでしょうか?まずはそれぞれの特徴や、その他の内装用語についてご紹介します。

巾木とは

巾木は、壁と床の境目に取りつける部材で、一般的には3~10cmほどの高さがあります。壁と床の間にできるすき間を隠し、部屋をすっきり見せる役割を果たします。また、緩衝材としても重要で、地震の際には振動を逃がし、建物へのダメージを軽減する効果があります。見た目には地味ですが、内装の美観を保ち、建物を守るために欠かせない存在です。

巾木の角には「キャップ(コーナーキャップ)」がついていますが、掃除機などがぶつかると、キャップが外れたり破損したりすることがあります。外れた場合は、両面テープや接着剤で簡単に取りつけることができますが、破損した場合は市販のキャップを購入して交換するか、建築会社に補修を依頼しましょう。

「地震のときなど、住宅の床は揺れます。その際、床と壁が密着していると、壁へも影響が出てしまうため、床と壁の間にはすき間があります。
そのすき間から風が入ったり、ゴミがたまったりするのを防ぎ、見た目もきれいに仕上げるために設けるのが巾木です。
なお、掃除機で壁を傷つけないように巾木があるという意見もありますが、それは後付けの役割ですね」(佐川さん、以下同)

巾木のイメージ

巾木は床と壁のすき間を隠し、見た目をきれいに仕上げる(画像/PIXTA)

廻り縁とは

廻り縁は、壁と天井の境目に取りつけられる部材です。天井に沿って部屋全体を囲むように設置されており、巾木が床との接合部に使われるのに対し、廻り縁は天井との接合部に使用されるという点が大きな違いです。

廻り縁の役割は、巾木とほぼ同じで、壁と天井のすき間を隠すために取りつけられます。また、デザインのアクセントにもなるため、巾木と合わせて内装のデザインを考慮して選ぶとよいでしょう。

「天井は一見まっすぐなようですが、実際は水平から2mm~3mmのゆがみが生じやすく、このすき間を隠し納まりをすっきり見せる役割が廻り縁です」

廻り縁のイメージ

廻り縁は天井と壁のすき間を隠し見た目をきれいに仕上げる(画像/PIXTA)

その他の内装の名称と特徴

住宅の内部造作は、巾木と廻り縁以外にも、さまざまな部材で構成されていて、ここでは、代表的なものを紹介します。

内装の名称の説明イラスト

住宅の内装はさまざまな部材で構成されている(イラスト/村林タカノブ)

・窓枠:窓の周りの枠
・ドア枠:ドアの周りの枠
・腰壁(腰板):壁の下部に木の板などを張ったもの
・腰見切り:腰壁の上下の境目をきれいに見せるために設ける部材

巾木や廻り縁の素材の種類と特徴

「巾木には、大きく分けて木製の『木巾木』と、樹脂製の『ソフト巾木』があります。廻り縁も素材としては、巾木と同様です」

「木製の巾木や廻り縁には、天然木を使ったものと、表面に化粧シートを張ったMDF(粉状にした木材チップを樹脂で混ぜ固めた中密度繊維板)のものがあります。厚さ10mm~15mmくらいで、住宅の巾木や廻り縁としては一般的です」

木巾木を使った内装のイメージ

住宅では木巾木が一般的(写真提供/無添加住宅)

樹脂製のソフト巾木や廻り縁の特徴

「塩化ビニール製で、厚さ2mm~3mmと薄いのが特徴です。店舗やオフィスなどで使われることが多く、住宅ではトイレや洗面所で使われることもあります」

アルミ製の巾木や廻り縁の特徴

アルミ製の巾木や廻り縁は、1~2cm程度の高さが一般的です。高さを抑えたデザインが特徴で、見た目がすっきりとしており、スタイリッシュな印象を与えます。シルバーカラーのアルミ素材なら、さまざまな内装スタイルに調和しやすいでしょう。

一方で、アルミは比較的柔らかい金属のため、耐久性があまり高くありません。物がぶつかると凹んだり曲がったりすることがあり、特に巾木として使用する場合には注意が必要です。こうした特性から、物がぶつかりにくい廻り縁に使うのが適しているといえます。また、木製に比べて材料費がやや高くなる点にも留意しましょう。

ステンレス製の巾木や廻り縁の特徴

金属系の巾木や廻り縁には、ステンレス製もあります。アルミ製と同様に、低めの高さですっきりとした印象を与えるため、巾木や廻り縁を目立たせたくない場合にオススメです。

また、ステンレスのツヤツヤした光沢は高級感を演出するのも魅力の一つです。アルミ製よりも耐久性が高い点も、ステンレス製を選ぶメリットといえるでしょう。ただし、価格がやや高めなのがデメリットです。

石やタイルを用いた巾木や廻り縁の特徴

石材やタイルを使用した巾木や廻り縁は、施工が難しいため一般的にはあまり見られませんが、デザイン性の高さが大きな魅力です。特に、デザイン性を重視する部屋や、他の家と差別化を図りたい場合に、良い選択肢となります。

石材の巾木や廻り縁を採用する際は、床材と同じ素材を使うのが一般的です。ただし、石材やタイルは厚みがあるため、壁よりも出っ張り、目立ちやすくなる点には注意が必要でしょう。特に巾木は、掃除中にぶつかりやすくなることも考慮する必要があります。

巾木や廻り縁の種類と特徴

巾木・廻り縁は形状ごとに種類が存在します。ここでは、巾木・廻り縁の主な種類とその特徴を見ていきましょう。

巾木の形の種類と特徴

「巾木の形は大きく3つに分けられます。『出巾木(ではばき)』『同面巾木(どうづらはばき)』『入巾木(いりはばき)』の3つです」

出巾木

出巾木(ではばき)は、壁面から外に少し出っ張っているのが特徴で、巾木の中でも最も普及している一般的なタイプです。

この出巾木は、壁が完成した後に取りつけることができ、施工が簡単なためコストも比較的抑えられるのがメリットです。ただし、出っ張り部分にほこりがたまりやすいため、気になる方はこまめな掃除が必要になるでしょう。

同面巾木

同面巾木(どうづらはばき)は、壁面と一体化するように取りつけるフラットな形状の巾木です。面巾木やフラット巾木と呼ばれることもあります。

出巾木とは異なり壁とのでこぼこ感がなく、すっきりした見た目になり、巾木を目立たせたくない場合にオススメです。また、家具を壁面に配置する際、すき間をなくしてぴったりくっつけられることもメリットといえます。しかし、出巾木と比べて施工に手間がかかるため、費用が高くなる点には注意しましょう。

同面巾木の素材は壁と同じものを使用することもあれば、あえて異なる素材を使うこともあります。同じ素材なら統一感を与え、異なる素材を使えば内装のアクセントとなるでしょう。

入巾木

入巾木(いりはばき)は、壁面に少し引っ込んだ形で取りつけられる巾木です。壁が床から浮いているように見え、部屋に軽やかな印象を与えます。

同面巾木と同様にフラットなデザインで、すっきりとした見た目を求める方にオススメです。また、引っ込んだ部分を活用して、家電の配線スペースとして利用することもできます。

出巾木に比べて、汚れが目立ちにくいという利点はありますが、壁と床のすき間に綿ぼこりがたまりやすいというデメリットもあります。また、同面巾木と同様に施工には手間がかかるため、費用が高くなりがちです。

3種類の巾木の説明イラスト

巾木の形は大きく分けて3種類(イラスト/村林タカノブ)

廻り縁の形の種類と特徴

「廻り縁の形の種類としては、通常の廻り縁のほかに『二重廻り縁』や『隠し廻り縁』などがあります」

二重廻り縁

通常の廻り縁は一段の出っ張りですが、二重廻り縁はそれが二段になっているのが特徴です。この施工には高い技術が求められ、繊細で上品な印象を与えてくれます。

そのため、格式を高めたい座敷に使用されることが多く、広めの和室に取り入れることで、より格式のある雰囲気をつくりだすことができます。

隠し廻り縁

隠し廻り縁は、天井や壁の合板の裏側に取りつけるタイプの廻り縁です。通常の廻り縁や二重廻り縁とは異なり、表面からほとんど見えないことが大きな特徴です。

このタイプの廻り縁は目立たないため、空間全体が引き締まった印象になります。そのため、特にシンプルな内装を好む場合にオススメです。また、アルミやステンレス製の隠し廻り縁が使われることもあります。

廻り縁の形の種類と特徴の説明イラスト

通常の廻り縁のほか、二重廻り縁や隠し廻り縁がある(イラスト/村林タカノブ)

巾木や廻り縁の色の種類と特徴

「巾木なら床材や壁の色、廻り縁なら壁や天井の色に近いものを使うことが多く、住宅用ではそれ以外の色はあまり使われません。
黒など濃い色の巾木や廻り縁は、カフェなどの店舗では見かけますが、住宅だと空間が分断され狭く感じられてしまうからです」

床や壁と近い色が使われた巾木

巾木は床や壁の色に近い色が使われることが多い(写真提供/無添加住宅)

部屋をおしゃれに見せる巾木や廻り縁の選び方

部屋をおしゃれに見せるには、どのような点に注意して巾木や廻り縁を選べばいいのでしょうか。

床の色と合わせる

「巾木は床の色と合わせることが多く、床がフローリングの場合は、その床の木の色に近い色を使うと、包まれているような印象になります」

床の色と色を合わせた巾木

床の色と巾木の色を合わせると包まれているような印象になる(写真提供/無添加住宅)

壁の色と合わせる

「巾木や廻り縁を壁の色と合わせると、壁面が広く感じられ、天井が高く感じます」

壁の色と合わせた巾木や廻り縁

壁の色と合わせると天井が高く感じる(写真提供/佐川旭建築研究所)

天井の色と合わせる

「6畳以下など比較的狭い部屋の場合は、廻り縁を天井の色と合わせると部屋が広く感じられます。逆に広い部屋では、天井の色と合わせず廻り縁をはっきり見せた方が、空間に安定感が出ます。広さに合わせて決めるのがオススメです」

家全体のデザインテイストに合わせる

「巾木や廻り縁は、家全体のテイストに合わせるのがオススメです。
例えば、ヨーロッパ調の家では、豪華にデコレーションされた、ボリュームのある巾木や廻り縁が似合います。
一方、シンプルモダンな家の場合、巾木や廻り縁をあまり目立たせない方がよいでしょう」

豪華な巾木や廻り縁のイメージ

ヨーロッパ調の家には豪華な巾木や廻り縁が似合う(画像/PIXTA)

天然石の巾木のイメージ

家全体のテイストに合わせて天然石の巾木を使うこともある(写真提供/無添加住宅)

サイズ(高さ・厚み)で選ぶ

「メーカー製の巾木の高さは、40mm、60mm、75mm、100mmが規格としてありますが、一番多く使われているのは60mmと75mmです。木巾木の厚みは10mm~15mmが多いですね。

また、巾木の上にほこりがたまるのを避けたい場合は、一般的なものに比べて厚さが薄く、上面が曲面になっている『薄型巾木』を使うといいでしょう。
なお、欧風住宅向けのデコレーションされた巾木や廻り縁はモールディングとも呼ばれ、高さも厚みも、より大きいサイズのものが使われます。これは、欧風住宅の天井高が2700mm~2800mmと高く、モールディングで豪華さを演出しても部屋が狭く感じないためです。しかし、日本の一般的な天井高(2400mm前後)で同様のサイズのものを使うと、圧迫感を感じます」

太さの違う巾木や廻り縁の説明イラスト

天井の高い欧風住宅だと巾木や廻り縁が太くなっても部屋が狭く感じない(イラスト/村林タカノブ)

巾木や廻り縁をなしにする

「巾木や廻り縁をなくしてすっきり見せたい場合は、本当になくすのではなく、ないように見える入巾木や隠し廻り縁にするといいでしょう」

ダサい巾木や廻り縁の後悔・失敗例と対策

巾木や廻り縁選びに失敗して、後悔したという例を紹介します。反面教師にしてダサくならないように気をつけましょう。

気づいたら勝手に色や素材が決まっていた

「家づくりは決めなければいけないことが多いため、多くの人は巾木や廻り縁にまで気がまわりません。施工する側も、一般的に床や壁に合わせておけば間違いはなく、高さもおおよそ決まっているので、施主に細かく確認しないケースもあり得ます。
もし、巾木や廻り縁にこだわりがある場合は、事前に打ち合わせで希望を伝えておいた方がいいでしょう」

デザイン的に主張し過ぎる

「巾木や廻り縁で部屋をおしゃれにしようと、床や壁の色とまったく異なる色を使うと失敗しやすいです。巾木や廻り縁は部屋全体をぐるりと囲んでいて、意外と目につくため、デザイン的に主張し過ぎると落ち着かない空間になってしまいます」

【実例紹介】巾木や廻り縁にこだわっておしゃれな住まいを実現!

スーモカウンターを利用して、巾木や廻り縁にこだわった住まいを実現した先輩たちの実例を紹介します。その人たちが、どのような点にこだわり、どのような住まいを実現したのか、実例を参考に学んでいきましょう。

【実例1】ブルーグレーの壁に調和したスタイリッシュなアルミ巾木

注文住宅を建てることを考え始めたAさんは、スーモカウンターを訪れました。希望したのは、無垢材を内装にほどよく取り入れた広く感じられるデザインの家。そこで紹介された5社の中から、デザインへのこだわりと住宅性能の高さで1社に決定。
内装デザインも細部にまでこだわり、自然由来のブルーグレーの塗料で自分たちで塗った壁の足元には、アルミ製の巾木を採用して、スタイリッシュな仕上がりになりました。

アルミ製の巾木の実例

自分たちで塗った壁の足元には、細くスタイリッシュなアルミ製の巾木を選択(写真/相馬ミナ)

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デザインのセンスが光る会社と出会って何度もプランを練り直したこだわりのわが家

【実例2】床材や巾木など、自分たちで細かく決めて、納得のわが家が完成!

マイホームを建てようと思ったものの何から始めていいのかわからず、たまたま見つけたスーモカウンターで話を聞いてみることにしたKさん。
住みたいエリアや予算を伝えたところ、3社を紹介され、面談を経て土地探しから提案してくれた会社に依頼。

家づくりの過程では、床材や巾木など細かな部分の素材や色決めなど、思った以上に決めることが多く、驚いたそうです。その分、自分たちの思いやこだわりの詰まった新居が完成しました。

壁や天井の色に合わせた巾木や廻り縁の実例

巾木や廻り縁は壁や天井の色に合わせたため、天井が高く感じられる(写真/河波隆博)

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子どもが元気に駆けまわる!リビングを真ん中に据えた、家族が笑顔で暮らせるわが家

【実例3】白の巾木をアクセントにして室内を上品にまとめた家

Uさん夫妻は、2人目の子どもが生まれるタイミングでマイホームの購入を検討し、家づくりについての知識を深めるためにスーモカウンターに相談しました。そこで資金計画から家づくりの流れまで丁寧に教えてもらい、要望に応えられそうな6社の建築会社を紹介してもらいました。最終的に、担当者との相性がよかったことが決め手となった、スキップフロアを採用した間取りを提案してくれた建築会社に依頼。

Uさん夫妻がこだわったのは、家全体の色使いです。グレーを基調とした空間に、白の巾木をアクセントとして取り入れることで、上品さと温もりを感じさせる仕上がりとなりました。

Uさん宅の注文住宅実例

白の巾木はホワイト系のフローリングや黄色のアクセントクロスとも相性抜群(写真/杉浦幹雄)

この実例をもっと詳しく→
色合いと動線にこだわった、機能的で可愛いのびのび暮らせる家

巾木や廻り縁を選ぶときのポイントは?

最後にあらためて佐川さんに、巾木や廻り縁を選ぶときのポイントについて聞きました。

「巾木や廻り縁は、床や壁、天井の境目といった素材が転換するところに用いられます。素材の異なる面をつなぐ巾木や廻り縁を活かすのか、それとも隠すのか、まずはそこから検討しましょう。
日本では、目立たせずすっきり見せるのが主流です。しかし、ヨーロッパなどでは、あえて目立たせて豪華さを演出することもあります。
どのような雰囲気にしたいのか、建築士や建築会社のインテリアコーディネーターなどに希望を伝えて、相談するといいでしょう」

スーモカウンターに相談してみよう

「どうやって進めたらいいのかわからない」「どのような巾木や廻り縁を選んだらいいのかわからない」住まいづくりにあたって、このような思いを抱いているなら、ぜひスーモカウンターに相談を。スーモカウンターでは、お客さまのご要望をお聞きして、そのご要望を叶えてくれそうな依頼先を提案、紹介します。

無料の個別相談のほか、「はじめての注文住宅講座」や「ハウスメーカー・工務店 選び方講座」など、家づくりの段取りや、会社選びのポイントなどが学べる無料の家づくり講座も利用できます。ぜひお問い合わせください。

イラスト/村林タカノブ

取材・執筆/福富大介(りんかく)、SUUMO編集部

取材協力/佐川旭さん
佐川旭建築研究所代表。一級建築士、インテリアプランナー。間取り博士とよばれるベテラン建築家で、住宅だけでなく、国内外問わず公共建築や街づくりまで手がける
取材協力/無添加住宅
取材・執筆/福富大介(りんかく)