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【実例あり!】モルタルで仕上げるキッチンや洗面台の魅力とは?

【実例あり!】モルタルで仕上げるキッチンや洗面台の魅力とは?
壁や床の仕上げ材としてポピュラーなモルタルですが、キッチンや洗面台、テーブルなどの仕上げにも活用できます。そこで、住宅や店舗のリノベーションデザイン・設計・施工を手掛ける空間社の島田知佳さんに、同社の手掛けた施工実例をもとにモルタルの活用方法について聞きました。

モルタルとは?

モルタルは、住宅などの建築現場でよく用いられる建材の一種です。主に、外構ではフェンスの基礎やレンガ、ブロックの目地に、内装では床の仕上げなどに用いられます。
最近では、目地のないフラットな仕上がりが好まれて、モルタルをキッチンや洗面台、キャビネットなどの仕上げとして用いることもあります。

モルタルで仕上げたリビング

モルタルは、キッチンや洗面台、その他さまざまな家具や内装壁の仕上げなどにも使われる(画像/空間社)

モルタルの用途

モルタルは、セメント、砂、水を混ぜてつくられる建材で、主に建築物の床、壁、天井に塗る材料として利用されます。

モルタルはシームレスで自然な仕上がりが得られるため、住宅の外壁や内壁に施工されることが多く、防水塗装を加えることで耐久性も向上します。

また、ブロックやれんがの接着材としても使用され、隙間を埋めて強度を高めるほか、タイルや石材の貼り付けにも役立ちます。さらに、木造住宅の外壁仕上げとして「ラスモルタル工法」にも使われており、意匠性と機能性の両方を兼ね備えた多用途な材料です。

モルタルを使うメリット・デメリット【編集部監修】

ここでは、モルタルを使うメリットとデメリットを、それぞれ編集部が解説します。

メリット

モルタルを使うことにより、次のようなメリットが生まれます。

  • 耐久性が高い
  • デザインの自由度が高い

耐久性が高い

モルタルの大きな利点は、その耐久性の高さです。外壁や内壁に使うと、塗装などを施すことで長期間にわたり防水性や耐候性を維持でき、住宅の保護に役立ちます。

デザインの自由度が高い

また、デザインの自由度も高く、仕上げを工夫して柄をつくったり、色を混ぜることで装飾的な仕上がりを簡単に実現できるため、意匠性の高い建築物に適しています。さらに、他の仕上げ材に比べて比較的安価であり、コストパフォーマンスに優れている点もメリットの1つです。

施工も比較的簡単で、DIYや小規模なプロジェクトでも扱いやすい点が魅力です。

デメリット

一方、モルタルを使うデメリットとして、次の2つがあります。

  • ひび割れしやすい
  • 定期的にメンテナンスを行う必要がある

ひび割れしやすい

デメリットとしては、ひび割れが発生しやすい点が挙げられます。モルタルは乾燥時に収縮するため、経年劣化や温度変化によりひび割れが生じることがあり、これが防水性の低下や劣化につながります。

定期的にメンテナンスを行う必要がある

また、ひび割れを防ぐために定期的なメンテナンスが必要で、補修には時間とコストがかかる点もデメリットだといえるでしょう。メンテナンスを怠ると、モルタルの劣化が進行し、建物全体に影響を与える可能性があります。そのため、必ず定期的にメンテナンスを行うことが必要です。

モルタルとコンクリートの違いは?

モルタルとコンクリートは、建築材料として広く使われていますが、用途や組成に違いがあります。

まず、モルタルはセメント、砂、水を混ぜたもので、ブロックやれんがの接着材や壁、床の仕上げ材として使用されます。モルタルは柔軟性が高く、細かい仕上げが可能であるため、意匠性が求められる場面や修繕作業にも適しています。

一方、コンクリートはセメント、砂、砂利、水を混ぜて作られます。砂利が含まれているため、モルタルよりも強度が高く、大規模な構造物や基礎工事に用いられます。例えば、ビルの柱や床、橋、道路の舗装など、耐久性と強度が求められる場所に最適です。

さらに、コンクリートは耐圧性に優れ、圧縮力に強いため、荷重のかかる構造物に適していますが、引っ張る力に弱いため、鉄筋コンクリートとして補強して用いられることが一般的です。一方、モルタルは主に接着剤や仕上げ材として使われるため、コンクリートほどの強度は必要とされませんが、柔軟なデザインや仕上げに適しています。

用途に応じて、両者は適材適所で使い分けられます。

モルタルキッチンなどの施工実例を紹介!

ここでは、モルタルキッチンや洗面の施工事例を紹介します。写真も掲載しているので、どのようなデザインになるのかをイメージしながら見てみてください。

モルタルキッチンやモルタルの洗面台が人気!

島田さんによると、今はモルタルで仕上げたキッチンや洗面台が人気になっていると言います。

「実際には、お客さまから『こんな風にしたい』とモデルとなる写真を見せていただいて、ご要望に沿うかたちで進めることが多いですね。特に機能性の高いモルタル調左官材(BEAL社のモールテックス)が普及してから、キッチンや洗面台などをモルタル仕上げにする人が増えた印象です」(島田さん、以下同)

次に、実際に空間社で手掛けたモルタルキッチンや洗面台の実例を紹介していきます。

モルタルキッチンの実例

●グレーの長方形が発する存在感が印象的なモルタルキッチン

まず目に飛び込んでくるのは、グレーの大きな長方形の箱です。キッチンの中でも目に見える面積の広い腰壁をモルタル仕上げにしたため、非常にインパクトがあります。

「このキッチンの天板はステンレスです。モルタルはステンレスや木、タイルなど、どんな素材とも相性がいいのが特徴です。腰壁の前面にはニッチ(飾り棚)を設けました。

このキッチンのように広い面積にモルタル仕上げをするときには、微妙な色ムラやコテムラが仕上げの表情となります。この表情は、左官職人の仕上げ方によって変わるため、お客さまと事前に念入りな打ち合わせが必要です。場合によっては、大きめのサンプルをつくることもあります」

モルタルで仕上げたキッチンの実例

キッチンの腰壁をモルタル仕上げにしてニッチな飾り棚をつけた(画像/空間社)

●土間風LDKに調和したシンプルなモルタルキッチン

床全面がモルタルグレーのLDKに、キャビネットの明るい木の色が調和したモルタルキッチンです。天板は厚みを薄くデザインしており、素材のナチュラルな印象に、都会的なテイストを加えています。

「LDKは全てモルタル床です。実は、お客様からの要望で、京都のカフェをイメージしています。キッチンの天板にモルタルを使うのは珍しいのですが、モールテックスは適したトップコートを施せば水まわりにも使用できます。床はもちろん、建具の素材感や白い壁、天井とも調和がとれて、ゆとりを感じられる空間になりました」

モルタル床のキッチン

天板が薄いタイプのモルタルキッチン。土間風LDKのモルタル床との相性は抜群(画像/空間社)

●天板が厚めのインダストリアルスタイルなモルタルキッチン

厚めの天板にモルタル仕上げを採用したキッチンです。無骨で無機質な雰囲気が味になっています。

「キッチンキャビネットの扉面材には、古材の足場材を使っています。天板のモルタル仕上げとの相乗効果で、無骨で無機質なインダストリアルスタイルのキッチンになりました。このようにモルタルを使うと、メーカー製のキッチンにはないオリジナル感を演出することができます。

天板をモルタル仕上げにする際、気をつけたいのはトップコートの種類です。トップコートには大きく分けてオイル系とニス系があります。オイル系は日常的なメンテナンスが必要ですが、ニス系はそれが不要です。ただ、ニス系は油ハネすると被膜が破れて水滴のような跡が残ってしまう場合があります。ですので、油ハネするコンロに近いところには、オイル系のトップコートを使用したり、ステンレス等の油に強い異素材を使って工夫します」

天板をモルタルにして古材と組み合わせたたキッチン

厚めの天板をモルタル仕上げにした。古材との相性もいい(画像/空間社)

●コンクリートブロックのようなキッチン前カウンター

まるでコンクリートブロックのような存在感でありながら、部屋やインテリアの雰囲気と絶妙にマッチしたキッチン前カウンターです。

「立ち上がり付きのキッチン前カウンターは、モルタルを金ゴテでおさえる施工でフラットに仕上げています。リビング側のニッチにはタモ集成材の棚板を設置。大きな部分はモルタルで、細かい部分は木でと、メリハリを効かせました。インテリアの雰囲気がモルタルの素材感とマッチしています」

モルタルで仕上げたキッチンカウンター

大きな部分はモルタルで、細かい部分は木で仕上げた(画像/空間社)

●モルタル仕上げのロングカウンターが印象的なバックキャビネット

食器棚の役割を担うバックキャビネットの天板をモルタル仕上げのロングカウンターにした実例です。壁面沿いに室内を横断するグレーのラインが、空間を引き締めています。

「モルタルの無機質な感じを多く取り入れたいというお客さまのご要望に応じて造作しました。カウンター下のキャビネット本体は造作家具と収納力十分の既製品を使っています。どんな素材とも合うモルタルを既製品と組み合わせることでオリジナリティを出すことができます」

モルタルで仕上げたロングカウンター

モルタル仕上げのロングカウンターを造作し、造作家具や既製品のキャビネットと組み合わせた(画像/空間社)

洗面の実例

●洋風レトロな雰囲気の洗面台

白いタイルと額縁のようなフレームが洋風レトロな印象の洗面台です。幅のあるモルタル仕上げの天板は、無骨なインダストリアルスタイルではあるものの、壁面の白く清楚な雰囲気ともマッチしています。

「モルタル仕上げの天板の下には、小物などを入れる木製キャビネットを造作。タイル、陶器、鏡、木と、素材もさまざま、色もさまざまですが、全体として清楚なイメージに仕上がっていると思います。洗面台の天板は油ハネを気にする必要がないため、日常的なメンテナンスのいらないニス系のトップコートを使用します」

モルタルで仕上げた洗面台

さまざまな色と素材を使いながら、全体としてまとまっている(画像/空間社)

●デザイン性と機能性を兼ね備えた洗面台

鏡のフレームには太目の木が使われています。厚いモルタル仕上げの天板と、木の素材感は定番の組み合わせです。フレーム下の壁面もモルタル仕上げになっています。

「壁面から天板までシームレスにモルタル仕上げにしたところが、この洗面台のポイントです。壁面にはタイルなどを使うことも多いですが、フラットな仕上がりを好んで、目地の出ないモルタル仕上げを選択するお客さまもいらっしゃいます。壁から天板までつなぎ目がなく一体化しているため、お手入れがラクだという機能性も兼ね備えています」

モルタルで仕上げで一体化させた洗面台

壁面から天板までモルタル仕上げで一体化(画像/空間社)

床の実例

●床をモルタル仕上げにすることで洗練された空間に

ファッションデザイナー・酒井さんの家づくりのテーマは「家族とつながる家」。自宅兼アトリエの床にはモールテックスを使用し、外にいるような気分になれる洗練された空間に。インテリアとして部分使いすることで、柔らかな仕上がりになっています。ゆくゆくは、外の敷地にもモルタルを敷きたいそうです。

酒井さんの実例

モールテックスを使用した床。洗練された印象に仕上がっている(写真/関口佳代)

モルタルを使用した実例について詳しくは→
「つながる」住まいがもたらした心の平穏。ファッションデザイナー・酒井景都さん【作家と家】

モルタルをキッチンや洗面台に活用するポイント

最後にあらためて島田さんに、モルタルをキッチンや洗面台に活用する際のポイントを聞きました。

「グレーの印象が強いモルタル仕上げですが、モールテックスはさまざまな色でモルタルの素材感を楽しむことができます。また、モールテックスの普及によって、かつてのモルタルの弱点だった水を吸いやすく、ひび割れしやすいというデメリットが解消され、どんな場所でもモルタル仕上げが可能になりました

気をつけるポイントを挙げるなら、利用シーンに応じて、トップコートを選ぶこと。また、仕上げの表情にこだわるなら、左官職人さんにも同席してもらい、念入りな打ち合わせをすることです」

スーモカウンターに相談してみよう

モルタルキッチンを取り入れたいと思ったときに「どうやって進めたらいいのかわからない」「建築会社はどうやって選べばいいの?」と思ったら、ぜひスーモカウンターに相談を。スーモカウンターでは、お客さまのご要望をお聞きして、そのご要望をかなえてくれそうな依頼先を提案、紹介します。

無料の個別相談のほか、「はじめての注文住宅講座」や「ハウスメーカー・工務店 選び方講座」など、家づくりのダンドリや、会社選びのポイントなどが学べる無料の家づくり講座も利用できます。ぜひお問い合わせください。

取材・執筆:福富大介(りんかく)、SUUMO編集部(モルタルの用途【編集部解説】モルタルを使うメリット・デメリットモルタルとコンクリートの違いは?床の実例

取材協力/株式会社空間社
取材・執筆/福富大介(りんかく)