キッチンにはさまざまなタイプがありますが、ペニンシュラキッチンとはどんなキッチンなのでしょうか?ペニンシュラキッチンの特徴やメリット・デメリット、選ぶ際のポイントについて数々のキッチンを手掛けるサンワカンパニーに伺いました。
当記事は、注文住宅でキッチンをプランニングする際に知っておきたいポイントや、ペニンシュラキッチンを取り入れた実例も解説しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
ペニンシュラキッチンとは?
片側が壁面に接した半島型のキッチンのこと
まず、ペニンシュラキッチンの「ペニンシュラ」は「半島」という意味で、キッチンの片側が壁面に接している半島型のキッチンのことをいいます。
開放的な空間でみんなで料理を楽しむプランの代表格はアイランドキッチンですが、両側を通路にするためには広さが必要になります。ペニンシュラキッチンは、コンパクトなスペースでもオープンで開放感のある空間にできるため、壁つけキッチンとアイランドキッチンのハイブリッドのようなタイプといえるでしょう。
オープンタイプとセミオープンタイプの違い
キッチンはオープンタイプ、セミオープンタイプ、クローズタイプの3種類に分けることができます。オープンタイプはカウンターテーブルがフラットになっていて、開放感のあるキッチンです。フラットになっていることからカウンター越しに洗い物や料理を手伝うこともできます。
セミオープンタイプは腰壁が設置されていてカウンター側からは手元が見えなかったり、つり戸棚が設置されていたりするタイプのキッチンです。開放感は少ないもののオープンタイプに比べて収納力は高くなります。
ペニンシュラキッチンはオープンタイプが多いですが、セミオープンにすることも可能です。ただし、セミオープンを選ぶとペニンシュラキッチンの特徴である開放感が得にくくなってしまうので注意してください。
オープンキッチンについてもっと詳しく→
オープンキッチン 人気の秘密とデメリット緩和のひと工夫
ペニンシュラキッチンと対面キッチンとの違い
対面キッチンとは、リビングやダイニングに対面する形で設置するキッチン全般を指します。家族と会話をしながら、テレビを見ながらでも料理・片づけができ、コミュニケーションが取りやすいのがメリットです。対面キッチンにはスタイル別にさまざまな種類があり、その中にペニンシュラキッチンが含まれています。
ペニンシュラキッチン以外にも、対面キッチンにはI型キッチン、コンロとシンクが90度になるように設置されているL型キッチン、コンロとシンクが2列に分かれて配置されているⅡ型キッチンなどがあります。
ペニンシュラキッチンとアイランドキッチンとの違い
アイランドキッチンとは、シンクやコンロ、調理スペースなどが四方を壁に接していない状態で独立しているキッチンを指します。周囲がすべて開けていることから開放感があり、複数人で同時に調理を行うことも可能です。ペニンシュラキッチンと同じ対面キッチンの一種です。
ペニンシュラキッチンは壁に接しているため、アイランドキッチンよりも開放感は感じられないかもしれません。しかし、アイランドキッチンは壁から独立しているため、十分なスペースを確保する必要があります。ペニンシュラキッチンの方が必要とするスペースは小さく、間取りの自由度は高くなります。
アイランドキッチンについてもっと詳しく→
アイランドキッチンの魅力とは? メリット・デメリットを実例とともに紹介!
ペニンシュラキッチンのメリットは?
ペニンシュラキッチンは、独特なデザインと機能性に特色があります。ダイニングとリビングとの一体感があるため、家族とのコミュニケーションがしやすくなります。また、インテリア性の高さや家事動線が効率的であることもメリットです。ここでは、ペニンシュラキッチンの具体的なメリットを詳しくご紹介します。
LDKが開放的な空間になる
ペニンシュラキッチンの魅力として、リビング・ダイニングと一体的な空間をつくりやすい点が挙げられます。独立タイプのキッチンや壁つけキッチンなどと異なり、作業台から視線を前に向けるとリビングとダイニングが広がっているため、開放感を得られます。
また、仕切りなどがない開放的な空間になることで、風が通りやすくコンロの熱もこもりにくいです。独立タイプだと調理中の熱気が逃げずにキッチン内の室温が高くなりがちですが、ペニンシュラキッチンなら夏場も料理がしやすくなります。
家族のコミュニケーションが取りやすくなる
ペニンシュラキッチンは、キッチンに立っている人の視線がリビング・ダイニングに向いているので、子どもと会話をしながら料理をしたり、家族と同じテレビを見ながら片づけができたりします。キッチンにこもって料理をしているよりも家族とのコミュニケーションが取りやすくなるでしょう。
特に子どもやペット、高齢者を見守りながら作業ができるのは大きなメリットです。子どもからもキッチンで作業している様子がわかるので、調理や配膳などの手伝いもしやすいです。
インテリアの一部として居心地の良い空間になる
ペニンシュラキッチンはデザインの種類も豊富で、リビングやダイニングの内装・インテリアに合わせて統一感を持たせることもできます。インテリアの一部としておしゃれなペニンシュラキッチンを選べば、より居心地の良さを感じられる空間になるでしょう。
おしゃれで居心地の良い空間にすることで、家族が集まりたくなる空間になりますし、ゲストを呼んでホームパーティーを開きたくなるかもしれません。ペニンシュラキッチンならホームパーティーの際にもゲストとコミュニケーションを取りながら料理などの準備をすることも可能です。
水まわりを集約するなど家事動線をスムーズに
家事動線は回遊性の高いアイランドキッチンの方がスムーズと感じる方も多いですが、ペニンシュラキッチンでも家事動線をスムーズにできます。
例えばキッチンと洗面・脱衣所をつなげるように配置すると、洗濯と料理を同時進行で進められるようになります。移動する手間もほとんどないため、家事動線はスムーズです。さらに、洗面・脱衣所に洗濯物を干せるスペースも用意しておけば、洗濯から洗濯物を干す作業までその場所で行うことができます。
このように、水まわりを集約するなど工夫を凝らすことで、家事動線をよりスムーズなものにできるでしょう。
後悔しないために知っておくべきペニンシュラキッチンのデメリットとその対策
ペニンシュラキッチンにはデメリットに感じられる部分もあります。ペニンシュラキッチンのデメリット、また、デメリットを解消するための対策方法も合わせて解説していきます。
収納スペースに制限がある
ペニンシュラキッチンは、開放感を得やすいというメリットがありますが、上部につり戸棚を設置しなかったりフラットな調理スペースを設けたりすると、収納スペースが制限されてしまうデメリットがあります。収納スペースが不足すると、調理器具や調味料などが出しっぱなしになり、物があふれているキッチンに見えやすくなります。
収納問題を解決するためには、ワークトップの下や冷蔵庫の上部分など、キッチンにあるスペースをうまく活用して収納を増やしていくのがオススメです。背面収納やパントリー、床下収納を設置すれば、十分な収納力を確保することもできます。また、メーカーから発売されているシステムキッチンの中には収納量が多いものもあるため、新築やキッチンリフォームを検討されている方はシステムキッチンの収納量もチェックしてみましょう。
煙やニオイが部屋に拡散する
ペニンシュラキッチンは風が通りやすく熱がこもりにくいのがメリットですが、料理中に出た煙やニオイがリビングやダイニングに広がってしまいやすいというデメリットもあります。これはペニンシュラキッチンに限らず、対面キッチンを選ぶと起きやすい問題です。煙やニオイが部屋に拡散されてしまうことで、壁や家具などにニオイが移ってしまう可能性もあります。
煙やニオイをすべてなくすことはできませんが、部屋全体の広さを考えた上で最適なレンジフードを設置し、室内の換気を徹底することで壁や家具などのニオイ移りも防げるでしょう。
油はねや水はねに注意する必要がある
ペニンシュラキッチンを含む対面キッチンで起きやすいのは、煙やニオイの問題だけではなく、油はねや水はねの問題も挙げられます。開放的なキッチンになっていることで、料理中に油や水がダイニングやリビング側にはねてしまい、汚れが広がってしまう可能性があります。
オイルガードやパーテーションを設置することで、前面に油や水がはねてしまうことを防げます。オイルガードは油はねを防ぐためのガラスパネルです。高さ30cm程度かつガラスで半透明になっているため、開放感をキープしつつ油がはねるのを防ぎます。シンク側に同じ高さのパーテーションを設置すれば、水はね防止につながるでしょう。
来客時に備えて整理整頓を心がける必要がある
開放感のあるペニンシュラキッチンは、リビングやダイニングからキッチンまでがオープンになっています。家族で過ごす分には良いですが、来客をリビングに通す場合はキッチンも見られてしまうことになるでしょう。来客があった際には慌てて片づけることにならないよう、普段から整理整頓を意識しなくてはなりません。
ペニンシュラキッチンを取り入れるのであれば、来客時にキッチンを見せないようにするためのパーテーションを設けるなどの工夫を行ってみましょう。パーテーションを用いれば来客側ももてなす側も気兼ねなく過ごせるようになります。
ペニンシュラキッチンを設置する際のポイントは?
実際にペニンシュラキッチンを設置する場合、以下のポイントを押さえることで失敗するリスクを防げます。ここで、ペニンシュラキッチンを設置する際のポイントを6つご紹介します。
ライフスタイルと家事動線を考慮する
作業を効率的にできるキッチンをつくるためには、「ワークトライアングル」と呼ばれる、冷蔵庫、シンク、コンロの位置をそれぞれ2〜3歩で移動できる配置にすることが望ましいとされています。誰が、どのように使うかをイメージしながらプランを検討しましょう。
ダイニングテーブル一体型にした場合、配膳や片づけなどがスムーズにできるだけでなく、家族のコミュニケーションが取りやすくなり、家事ラクとコミュニケーションの両立が可能に。また、ペニンシュラキッチンにカウンターを設けて朝食を食べることで時短を実現するなど、家族構成やライフスタイルに合わせてプランニングすることが大切です。
さらに、キッチン家電の配置も動線を考慮して決めると、調理の作業動線がスムーズに。その際、使う場所に合わせてコンセントを確保しましょう。
そして、キッチンの使い勝手だけでなく、同時進行させる家事との動線も考えてレイアウトを考えると、よりコンパクトな動線になり家事を効率化できます。
作業台の高さや奥行きに注意する
ペニンシュラキッチンを設置する際には、実際に料理や洗い物をすることも考え、作業がしやすい高さと奥行きのキッチンを選ぶことが重要となってきます。作業台の高さは家族の中でも特によく使う人の身長を考慮して選ぶのがオススメです。
作業台の理想的な高さは身長(cm)÷2+5cmが目安となります。例えば身長が160cmの人だと、160cm÷2+5cm=85cmが理想的な高さの目安です。作業台が高すぎても低すぎても作業はしづらく、体に負担もかかってしまうためキッチンを選ぶ際には気をつけましょう。
奥行きに関しては、一般的なキッチンの奥行きが60~70cmになります。しかし、油はねや水はねを考慮するならもう少し奥行きを広めに取った方が良いです。具体的には80~100cmの奥行きがある作業台を選ぶのがオススメです。
コンセントの位置と数を考慮する
利便性の高いペニンシュラキッチンにするためには、コンセントの位置や数も考慮しましょう。キッチンは冷蔵庫や電子レンジ、炊飯器など調理家電を使用する機会が多く、コンセントが足りないと感じてしまうことも少なくありません。どこに冷蔵庫や電子レンジなどの調理家電を置くのかを最初に考えておくことで、コンセントをどこに設置すればいいのか、どれくらい設置すればいいのかが把握できます。
また、コンセントを配置する場所といえば壁の下部分をイメージする方も多いですが、キッチンカウンターの近くに同じくらいの高さでコンセントを設置するのもオススメです。カウンターの近くに設置することで料理をしながらスマホを充電したり、電気ポットやハンドミキサーなどの家電も使いやすくなります。
LDK全体のインテリアになじむ素材やカラーを意識する
リビング・ダイニングと一体化するペニンシュラキッチンは、空間全体の内装を考慮してインテリアになじむ素材やカラーを採用することも大切です。各メーカーが取り扱うキッチン設備は豊富なデザインとカラー、素材が採用されているため、リビング・ダイニングとの相性も考えながら最適なデザインのペニンシュラキッチンも選べるでしょう。
例えば、リビングやダイニングがナチュラルテイストで、木材を多く取り入れている場合は、キッチンにも木目調のデザインを取り入れることで空間に統一感が生まれやすくなります。また、シックでモノトーンな空間にしたいなら人工大理石を取り入れたキッチンにするのもオススメです。
キッチンアイテムや家電などの収納スペースを確保する
食器や調理器具など持ち物のリストアップし、キッチンの収納スペースをどのくらい確保すべきか把握してから収納計画を立てましょう。作業動線やしまう位置も含めて収納場所と収納量を決めて、あわせて収納方法も検討を。つり戸棚をつける場合は、ディスプレーのように見せる収納にすると、抜け感が出てインテリア性が高まります。
コストパフォーマンスも考慮する
ペニンシュラキッチンは種類が多岐にわたり、シンプルで低コストに抑えられているものもあれば、豊富な機能性で高めの値段設定となっているものもあります。また、メーカーによってつけられるオプションも異なるため、どれを選べばいいか迷ってしまいがちです。「あれもこれも」と機能をつけてしまえば、予算を大幅に超えてしまう可能性もあります。
キッチンを選ぶ際には必要な機能を洗い出し、コストパフォーマンスを考慮しながら選ぶのがオススメです。どの機能もつけたいと思ったら優先順位と予算を決めてから選ぶようにすると良いでしょう。また、機能だけでなく使用する素材・デザインによっても価格は変わってくるため、デザインと価格のバランスも考慮しながら選ぶと後悔しにくくなります。
素敵なペニンシュラキッチン実例6選
最後に、ペニンシュラキッチンを導入した実例をご紹介します。ここで紹介する実例も参考にしながら、自宅の内装に合わせて素敵なペニンシュラキッチンの設置を計画してみましょう。
実例1 手元は隠しながら子どもの様子がわかるキッチン
最初はアイランドキッチンを希望していたものの、キッチンが全部見えてしまうことや、空間が狭く感じてしまうことから、ペニンシュラ型のカウンターキッチンに。料理をしているときでも夫妻での会話を楽しめたり、子どもが寝ていたりしている様子も見られるので安心。
この実例をもっと詳しく→
憧れのプロヴァンステイストの明るい空間で、ゆったりとした暮らしを楽しむ
実例2 ダイニングテーブル一体型の家事ラクキッチン
ペニンシュラキッチンの横並びの延長上にダイニングテーブルを配置し、家族5人でゆっくりと食事ができる広さを確保しています。調理したものをテーブルに並べたり、食後の後片づけ、食事中に調味料や飲み物を取りに行くときなどの行き来もスムーズ。料理をしながら親子の会話が弾み、子どもたちも自由に出入りができてお手伝いもしやすくなっています。
また、キッチンとユーティリティは扉一枚でつながり、家事動線も◎。
この実例をもっと詳しく→
『遊び、学び、集い、寛ぐ』リビング!子どもたちが楽しめる家
実例3 カウンターテーブルを設け、会話が弾むキッチン
「リビングにいる人もキッチンにいる人も、同じテレビ番組を見て、話したり笑ったりできるように」という思いから、キッチン、ダイニング、リビングが一列に並ぶプランに。キッチンは奥行きを広くしてカウンターテーブルとしても使えるので配膳もラクラク。家族の会話も弾みます。
この実例をもっと詳しく→
家族一緒の時間を大切に慈しむ、プロヴァンス風の家
実例4 回遊動線で隣の居室にアクセスしやすいキッチン
以前はキッチンとリビングが別で、子どもが動き回るようになって目が離せなくなったため、オープンキッチンを採用。隣の洋室にはキッチン側からもリビング側からも回遊できるよう、両側に入口を設けてコンパクトな動線に。
この実例をもっと詳しく→
計画変更を経て、1年越しでスーモカウンターを訪ねて建てた平屋
実例5 吹抜けで開放感たっぷりのキッチン
リビングダイニングを吹抜けにすることで、よりオープンで開放的なLDK空間を実現。天井高が切り替わっていることで立体感も生まれています。黒のペニンシュラキッチンは、白を基調にした明るい空間のアクセントに。
この実例をもっと詳しく→
駅遠ながら住環境を優先。吹抜けのリビングを2歳の娘が干し芋を持って走り回る“圧迫感”がない家
実例6 たっぷりの収納を背面に設置したペニンシュラキッチン
Tさん夫妻は祖父母の古家の建て替えを検討し、家づくりについて相談できるスーモカウンターを利用しました。狭小地だったことから狭小地が得意な会社であることと、予算の上限を伝えたところ、4社を紹介してもらうことができ、その中から提案力が高いと感じた1社に依頼することを決めました。
内装は全体的に白とグレー、ダークブラウンで統一し、落ち着いた雰囲気に仕上げています。狭小3階建てということでパントリーをつくれませんでしたが、その代わりペニンシュラキッチンと背面に大容量の引き戸収納を設置して、常にスッキリとしたキッチンを保てるようにしています。
この実例をもっと詳しく→
祖父母が住んでいた築70年の空き家を取り壊し3階建てに建て替え
スーモカウンターで見つけよう!
このように、ペニンシュラキッチンは、LDK全体をオープンにつなげることができ、家族とのコミュニケーションが円滑になります。また、空間全体がまとまることでインテリア性が高まり、居心地の良い時間を過ごすことができます。しかし、自分たちのライフスタイルに合ったペニンシュラキッチンを取り入れたプランをかなえてくれる建築会社を探そうと思っても、自分で見つけるのは至難の業。
そこで頼れるのがスーモカウンター。注文住宅の新築・建て替えをサポートしているスーモカウンターでは、家づくりの不安を解決できる無料講座や、アドバイザーに悩みを相談できる無料の個別相談などを実施しています。個別相談では住宅建築の予算や希望条件の整理、建築会社の紹介など、注文住宅を建てる際のあらゆる不安について、知識と経験のある専任アドバイザーに無料で何度でも相談できます。
スーモカウンターを利用して、ペニンシュラキッチンを取り入れたセンスのいい家での快適な暮らしを実現してくれる会社を見つけましょう!