住宅の屋根には、さまざまな種類の形や葺(ふ)き方、屋根材があります。屋根の種類別にどのような特徴があるのか、木造や鉄骨造など建物の構造による向き不向きはあるのかなど、マリモハウスの宮﨑平祐さんにお話を聞き、実例と共に紹介します。
- 住宅における屋根の役割と構造は?
- 屋根の形による種類と特徴は?
- 屋根材の種類と特徴は?
- 屋根の葺き方の種類と特徴は?
- 屋根にこだわって理想の住まいを実現した先輩たちの実例を紹介!
- 【実例1】思い通りにできたシンプルな佇まいの切妻屋根がかわいい家
- 【実例2】緩やかな勾配が柔らかな印象を与える、快適な暮らしをかなえる平屋
- 【実例3】独特の形状の家にアシンメトリーの片流れ屋根!デザインのセンスが光る家
- 【実例4】洋館の雰囲気漂うアッシュグリーンの外壁とブラウンの切妻屋根がおしゃれな家
- 【実例5】自慢のインナーガレージ付き!外観にもこだわった、三角屋根が連なる平屋の家
- 【実例6】陸屋根を採用し、「白、黒、グレー」をコンセプトにしたスタイリッシュな家
- 【実例7】大きなシンメトリー屋根の下は、勾配天井を生かしセカンドリビングとゲストルームに
- 【実例8】全方向からの視線を意識してデザインされた家は、洋瓦を使いモダンでおしゃれな外観に
- 屋根を選ぶ際のポイントは?
- どんな屋根にしたいか、を決めるのが第一歩
- スーモカウンターに相談してみよう
住宅における屋根の役割と構造は?
「家を守る」存在の屋根ですが、近年はほかにもさまざまな役割を担うようになりました。まずは屋根の役割、そして基本的な構造を確認しておきましょう。
主な屋根の形一覧
屋根には主に、以下のような役割があります。
- 風雨や直射日光を遮る
- 台風や集中豪雨などの自然災害から家や家族を守る
- 外観の印象をよくする
- 室温の上昇を防ぎ、住まいを適温に保つ
- 太陽光発電を行う
屋根はもともと風雨をしのぐためのものですが、住環境の追求が進む過程で、家のデザイン性や快適性を高める存在としての役目を果たすようになりました。さらに、20年ほど前から屋根は、太陽光発電のパネルの設置場所としても活用されています。東京都では、新築住宅を建築するハウスメーカーに太陽光発電の設置を義務付ける動きも出てきました。
「エネルギーを創出する太陽光発電は、経済的にもメリットがあります。現状ではまだ施主さんからのご要望は多くはないですが、これから増えてくると思います」(宮﨑さん、以下同)
屋根の基本構造
屋根は、以下のような構造をしています。
- 梁(はり):柱と柱をつないで水平に渡される部材。床や屋根などの荷重を柱に伝える
- 母屋(もや):棟木と平行に配され垂木を支える部材
- 棟木(むなぎ):屋根をつくるために、屋根の一番高い位置に取り付けられる部材
- 垂木(たるき):屋根に傾斜をつける木材。屋根の頂上から斜めに向けて取り付けられる
- 野地板(のじいた):垂木の上に設置される、屋根材の下地となる板
- 防水紙(ルーフィング):雨漏りを防ぐ防水シート。直射日光に弱い。最終的に雨漏りを防いでいる
- 屋根材:瓦やスレートなど屋根の外観を決める部分
- 大棟(おおむね):棟(屋根面が交差する部分)のうち、最も高い位置にある棟
- 下り棟(くだりむね):大棟から下るように配置されている棟
「勾配屋根(陸屋根以外)であれば、垂木から屋根材までの基本構造は、木造(木造軸組工法・ツーバイフォー工法)・鉄骨造でもほぼ同じです」
屋根の形による種類と特徴は?
屋根には実に多くの形があり、それぞれ特徴やメリット・デメリットが異なります。それぞれの違いを把握して、どのような形状にするか検討しましょう。
主な屋根の名前
代表的な屋根には、次のようなものがあります。
特に住宅に多く採用されている5種類の屋根について、それぞれの特徴を紹介します。
切妻屋根(きりづまやね)の特徴
大棟から両側に、本を開いて逆さまに被せたように屋根が流れる形状です。屋根がなく三角に見える部分は「妻側」、屋根がある部分は「平側」と呼ばれます。
「妻側と平側のどちら側に玄関を設置するかは、デザインはもちろん、立地条件などにも影響されます」
メリット
・構造が単純で比較的安価に施工できる
・和風・洋風どちらにでも合うデメリット
・個性を出しにくい
・妻側が雨や直射日光の影響を受けやすいメンテナンス性
屋根同士の継ぎ目が1カ所なので雨漏りしにくい
太陽光発電
適しているが、平側が南に向いていないと発電効率が下がる
構造
木造・鉄骨造(木造が多い)
寄棟屋根(よせむねやね)の特徴
中央にある大棟から四方に傾斜面がある屋根です。和風・洋風どちらにも合う形状です。
「切妻屋根と比べると外壁面積が減るため、耐風性が高まります」
方形(ほうぎょう)造りの屋根もあり、寺院などで特に用いられます。
メリット
・雨を四方に流せる
・耐風性が高いデメリット
・屋根裏が狭くなり、通気性はあまりよくない
メンテナンス性
・棟が多くなるので、雨漏りのリスクがある
太陽光発電
・面積を確保しにくい可能性がある
構造
・木造・鉄骨造
陸屋根(りくやね・ろくやね)の特徴
ビルのように平らな屋根で、平屋根(ひらやね)とも呼ばれます。直線的なのでシャープでモダンな外観です。
「木造でも可能ですが、防水に関しては十分なケアが必要です」
メリット
・屋上を活用できる
デメリット
・勾配が小さいので排水性が低い
・屋根裏が狭くなり、通気性はあまりよくないメンテナンス性
・定期的な防水塗装が必要
太陽光発電
・斜めに設置するための架台が必要
構造
・鉄骨造が多い。(木造の場合は防水性を高める必要がある)
片流れ屋根(かたながれやね)の特徴
一方向だけに傾斜がついている屋根で、シャープな印象を与えます。アシンメトリーでデザイン性が高く、近年人気の形状です。
「斜線制限をクリアするために計画することもあります。そのなかできれいに見えるかを意識して設計します」
メリット
・斜線制限に対応できる
・見た目がスタイリッシュデメリット
・屋根がない方の外壁は直射日光や雨の影響を直接受けやすい
メンテナンス性
・雨や雪が片側に集中するので、雨どいに負荷がかかりやすい
太陽光発電
・搭載面積が広いため適している
構造
・木造・鉄骨造
入母屋屋根(いりもややね)の特徴
寄棟屋根の上に切妻屋根を被せたような形状で「いりもや」と読みます。格式が高く、切妻部分に「矢切」と呼ばれる壁があり、窓を取りつけることもできます。
メリット
・屋根裏の通気性がよくなる
デメリット
・構造が複雑なため、材料費や施工費が高くなる
メンテナンス性
・寄棟と切妻が合わさる箇所(画像の赤丸箇所)から雨漏りするリスクがある
太陽光発電
・設置しやすいが、平側が南に向いていないと発電効率が下がる
構造
・木造(寺ではまれに鉄骨造も見かける)
屋根材の種類と特徴は?
同じ形状の屋根であっても、乗せる屋根材の種類によって印象が変わります。主な屋根材の種類と特徴を紹介します。
瓦屋根の特徴
瓦は、粘土を高温で焼いてつくられる屋根材です。さらに釉薬(ゆうやく)が使われた陶器瓦と、そのまま焼成されたいぶし瓦・素焼き瓦に分かれます。和風の家はもちろん、洋瓦を選べば洋風の家にも合います。
「瓦は遺跡から出土するほど、耐久性が高い屋根材です。ただし隙間が多いので、勾配の緩い屋根には適していません」
メリット
・耐久性が高い(半永久的)
・部分的に葺き替えできる
・断熱性や遮音性が高いデメリット
・重量があるため耐震性が低くなる
・地震や台風で損壊しやすい
・カバー工法には適していない
・勾配が緩やかな屋根には適さない
瓦屋根について詳しくは→
スレート(コロニアル・カラーベスト)屋根の特徴
スレートは、セメントと繊維材料を主原料に薄い板状に成型した屋根材です。棟にあたる部分は、棟板金と呼ばれる金属製の部材でカバーして、雨水の浸入を防ぎます。「コロニアル」「カラーベスト」などの商品名で呼ばれることが多く、一般住宅で使用率の高い屋根材です。耐用年数は約30年とされています。
「スレートは種類やサイズが豊富で加工しやすいため、屋根のデザインの再現性が高くなるのも、採用されやすい理由です」
メリット
・瓦屋根よりも軽量
・デザインが豊富
・加工しやすく屋根の形状に合わせやすい
・屋根材のなかでは比較的安価
・勾配が緩くても施工できるデメリット
・ひび割れしやすい
・素地には耐水性がない
・定期的な塗装メンテナンスが必要
(10年程度。塗料の耐用年数による)
ガルバリウム鋼板屋根の特徴
アルミ亜鉛合金メッキ鋼板でできた屋根材で、スタイリッシュな印象に仕上がります。アルミニウムの犠牲防食機能(先に溶け出して穴をふさぐ)により錆びにくく、耐用年数が30年程度と比較的長いのが特徴です。
「断熱材が裏打ちされたタイプもあります。屋根裏断熱と合わせることで、断熱性をさらに向上できます」
※ガルバリウム鋼板は、日鉄鋼板の登録商標です。この記事では「コーティングされた金属板」としています
ガルバリウム鋼板ついてもっと詳しく見る
→【実例付き】ガルバリウム鋼板を外壁や屋根に使用するメリット・デメリットを解説
メリット
・軽量なので家の耐震性が高くなる
・耐久性が高い
・勾配が緩い屋根にも施工できるデメリット
・防音性が低い
・スレートよりも高価
その他の屋根材
その他の屋根材としては、以下のようなものがあります。
トタン
トタンは薄い鉄板の表面に亜鉛メッキを施した屋根材で、波板、瓦棒葺き、折板などの形状があります。耐用年数10〜20年と短いことから、現在、一般住宅に使用されることはほとんどありません。
アスファルトシングル
グラスファイバーにアスファルトをしみ込ませ、表面に細かな石粒をコーティングしてアクリル樹脂で固めた屋根材です。北米で人気ですが、日本でのシェアは低めです。
ジンカリウム鋼板(自然石粒付ガルバリウム)
紫外線で劣化しない、細かな鉱物の粒が吹き付けられたガルバリウム鋼板です。耐久性が高く、塗装メンテナンスが不要なのが特徴です。
ステンレス
耐久性が高く、色あせが気にならなければ塗装メンテナンスは不要です。錆びにくいため、沿岸部に適しています。
銅
耐久性が高く、塗装が不要です。酸に弱いため、酸性雨により穴が開くことがあります。
「塗装メンテナンスが不要になるタイプは高価であるため、初期投資にコストがかかります。これらの屋根材が住宅に採用されにくいのは、コストも理由の1つです」
屋根の葺き方の種類と特徴は?
ガルバリウム鋼板で屋根を葺く際には、大きく分けて横葺きと縦葺きがあります。それぞれデザインはもちろん、メリット・デメリットも異なるため、確認しておきましょう。
横葺き
横葺きは地面と平行に屋根材を葺いていく方法で、主に4つの葺き方があります。
「葺き方を選ぶときには、家に合ったデザインをご提案しています。ただし横葺きは、勾配がきつくないとできません。横の重なりから水が入る恐れがあるためです」
長尺横葺き
屋根の端から端まで長い鋼板を平行に葺いていく方法です。見た目がスッキリした仕上がりになります。長さがあるため、住宅密集地などで経路が入り組んでいる場合は搬入できず、施工できないこともあります。
定尺横葺き
短い鋼板を地面と平行に横に葺いていく方法です。継ぎ目に規則性はなく、ランダムに葺いていきます。
一文字葺き
定尺横葺きで、継ぎ目の位置に規則性を持たせて葺いていく方法です。
段葺き
横葺きの各段に立ち上がり部分をつくり、立体的にする方法です。
横葺きのメリット・デメリット
メリット
細さや継ぎ目を変えることでいろいろなデザインが楽しめる
デメリット
重なった部分から雨漏りするリスクがあるため、勾配が緩い屋根には適していない
縦葺き
縦葺きは、屋根材を地面と垂直に葺いていく方法で、主に2つの葺き方があります。
瓦棒葺き
隣接する屋根材とのハゼと呼ばれる継ぎ目部分に、力強い立ち上がりがあります。屋根材がゆがみにくいのが特徴です。
立平葺き
瓦棒の立ち上がり部分が、細くなったものです。折り曲げることで立ち上がりがつくられています。瓦棒葺きよりも緩い勾配の屋根でも施工できます。
縦葺きのメリット・デメリット
「同じ縦葺きでも、瓦棒葺きよりも立平葺きのほうがより緩い勾配に対応できるため、設計の自由度が高くなります。ただしスレートや瓦と違い長さがあるので、立地によっては搬入が難しく、採用できないこともあります」
メリット
雨漏りリスクが少なく、勾配が緩やかでも葺ける
デメリット
長さがあるため、立地条件によっては搬入できない可能性がある
その他の葺き方
ガルバリウム鋼板のその他の葺き方としては、四角い屋根材をウロコのように張っていく「ひし葺き」があります。意匠性が高くなりますが、手間がかかるため、施工費は高額です。
屋根にこだわって理想の住まいを実現した先輩たちの実例を紹介!
屋根の形や素材によって、家の印象を大きく変えられることがわかりました。ここではスーモカウンターで家を建てた先輩たちの実例を、屋根に注目して見てみましょう。
【実例1】思い通りにできたシンプルな佇まいの切妻屋根がかわいい家
シンプルな「The おうち」という形にこだわり、切妻屋根を選んだTさん夫妻。特に屋根の形を重視し、外観を最優先にデザインしています。
シンプルな家を目指して、住宅誌やInstagramなどを参考に、担当者と相談しながら進めました。レイアウトがうまく収まらなかったため、何度も間取りを変更。その結果、思い通りの外観の理想のマイホームが実現できました。
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思い通りにできたシンプルな佇まいの切妻屋根がかわいい家
【実例2】緩やかな勾配が柔らかな印象を与える、快適な暮らしをかなえる平屋
アシンメトリーの片流れ屋根と陸屋根を組み合わせた二世帯住宅の事例です。シャープな印象になりがちな片流れ屋根ですが、勾配を緩やかにし、フラットな陸屋根と組み合わせたことでどこか柔らかな印象を受けます。
片流れ屋根の高い部分には、隠れ家のような小屋裏収納を設けることで、空間を有効活用しました。
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快適な暮らしをかなえる平屋、プライバシーにも配慮した二世帯住宅
【実例3】独特の形状の家にアシンメトリーの片流れ屋根!デザインのセンスが光る家
凹凸のある独特の形状の家に、さらにアシンメトリーの片流れ屋根を配することでデザイン性の高い住宅を実現した事例です。
屋根の形状を生かした勾配天井が印象的な2階の寝室の窓からは、富士山を眺められます。天井高が高くなる勾配天井は、開放的な空間を楽しめるのもメリットです。
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デザインのセンスが光る会社と出会って何度もプランを練り直したこだわりのわが家
【実例4】洋館の雰囲気漂うアッシュグリーンの外壁とブラウンの切妻屋根がおしゃれな家
ウッド調の落ち着いたグリーンの外壁にホワイトサッシ、ブラウンの屋根の組み合わせで、まるでヨーロッパの洋館のような可愛らしいマイホームを実現したKさん。個性を出しにくい切妻屋根ですが、二層に重ねることで遠近効果が生まれ、印象的な外観になりました。
内装も床は無垢(むく)材、壁は漆喰(しっくい)を採用し、健康に配慮した住宅に仕上げたセミオーダー住宅です。
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シングルマザーが自分好みの家を建て、明るい未来にステップアップ
【実例5】自慢のインナーガレージ付き!外観にもこだわった、三角屋根が連なる平屋の家
四角い建物になりがちな平屋ではなく、個性的な外観を希望して建てた、家の中から愛車が見えるインナーガレージ付きの家を実現した事例です。
建物が連なって段々に見える印象的な外観は、窓の形状も棟ごとに異なり個性豊か。広い平屋であっても屋根を層にすると窓を多く確保できるので、採光性が高くなるのもポイントです。
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自慢のインナーガレージ付き!外観にもこだわった、三角屋根が連なる平屋の家
【実例6】陸屋根を採用し、「白、黒、グレー」をコンセプトにしたスタイリッシュな家
ポストに投函されていた大手ハウスメーカーのチラシをきっかけに、建て替えを決意したEさん。スーモカウンターで紹介された4社のうち担当者の印象が良かった1社に依頼しました。デザインコンセプトである「白、黒、グレー」で外観・内装共に統一した家は、アートギャラリーのようなおしゃれな空間に仕上がりました。外観では陸屋根がスタイリッシュな雰囲気を演出しています。
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建築会社と話し合いを重ね完成したスタイリッシュな“白黒”の家
【実例7】大きなシンメトリー屋根の下は、勾配天井を生かしセカンドリビングとゲストルームに
大きなシンメトリーの屋根が目を引く、Yさん夫妻のお宅は、一見すると平屋のようですが、勾配天井を生かした2階建てになっています。平屋を建てたいと希望していたYさんは、同僚から紹介されてスーモカウンターに相談。紹介された中からデザインを気に入った1社に依頼を決めました。大きく横に広がったシンメトリーな切り妻屋根で、希望していた西海岸テイストのアメリカンハウスを表現。屋根の両側には太陽光発電パネルを設置したため、電気は太陽光発電で賄えるそうです。
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憧れのアメリカンテイストを取り入れた開放感のある平屋風2階建ての暮らし
【実例8】全方向からの視線を意識してデザインされた家は、洋瓦を使いモダンでおしゃれな外観に
「自宅でピアノ教室を開きたい」という夢を持っていたIさん夫妻。譲れない条件は「グランドピアノが入る戸建て」だったものの、建売や中古住宅では条件に合う物件が見つからず、スーモカウンターを訪れました。そこで紹介された6社から、機能面とデザイン面のバランスのいい建築会社に依頼。国道沿いということで、全方向からの視線を意識してデザインされた家は、洋瓦を使用したモダンでおしゃれな仕上がりになりました。
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吹抜けからの採光とグランドピアノの音色が美しい住まい
屋根を選ぶ際のポイントは?
屋根材を選ぶポイントは以下の3つです。
- 価格
- デザイン
- 耐用年数
このどれを重視するかによって、選ぶ屋根材が決まります。それぞれの選び方を、以下で詳しく見ていきましょう。
価格
前提として、新築の場合は家全体の施工費用が出されるため、屋根のみの価格が出されることはありません。ここでは、屋根材ごとにメーカーの小売価格を紹介します。
価格を重視するなら、スレートかアルミや亜鉛合金でコーティングされた金属板を選ぶのがいいでしょう。
●参考例
屋根材 | メーカー名 | 商品名 | メーカー希望小売価格 |
---|---|---|---|
スレート瓦 | ケイミュー | コロニアルグラッサ | 5400円/㎡(税込) |
ポリエステル塗装高耐食GLめっき鋼板 | ニチハ | 横暖ルーフS | 約7700円/㎡(税別) |
一般的には、スレートとガルバリウム鋼板は定期的なメンテナンスが必要で、スレートのコロニアルグラッサは約30年ごとに、ポリエステル塗装高耐食GLめっき鋼板は約15~20年ごとに塗装工事をしなくてはなりません。
※ニチハでは「ポリエステル塗装高耐食GLめっき鋼板」としています
※価格はいずれも2024年11月時点のものです
デザイン
屋根は建物の外観やイメージに影響を与えるため、デザインを重視するのも1つの方法です。デザインが優れていると言われる屋根材は以下の4つです。
- スレート
シンプルな形状で色数が豊富です。 - ガルバリウム鋼板
シンプルでスタイリッシュなデザインです。 - 粘土瓦
和瓦は、重厚な印象で日本建築に合い、洋瓦は色数が豊富で洋風建築に合います。 - アスファルトシングル
砂粒や石粒を吹き付けて着色するため、吹き付けるものにより多くのカラーバリエーションがあります。和風建築、洋風建築のどちらにも合います。
耐用年数
耐用年数で選ぶのなら、粘土瓦がおすすめです。粘土瓦は和瓦と洋瓦があり、さらに和瓦には釉薬瓦といぶし瓦があります。一般的に、釉薬瓦の場合、耐用年数は50~100年、いぶし瓦の場合、耐用年数は30~50年です。洋瓦の場合、耐用年数は40~60年です。このように粘土瓦は屋根材に比較して長い傾向にあります。メンテナンスは、和瓦、洋瓦共に、防水シートの張り替えを30~40年ごとに行う必要があります。
しかし、材料費と工事費を合わせた初期費用は、9000〜1万2000円/㎡と高めです。初期費用が高いもののメンテナンス費用を抑えられる粘土瓦を選ぶか、初期費用を抑えてメンテナンス費用がかかるスレートを選ぶかは、考え方によります。
どんな屋根にしたいか、を決めるのが第一歩
最後に改めて宮﨑さんに、屋根を選ぶ際のポイントを聞きました。
「まずはどんな屋根にしたいか、好きなデザインを決めることから始めましょう。そうすれば担当者から、希望のデザインを実現するのに適した屋根材を提案してもらえます。ただし立地によってはさまざまな制限がかかり希望の形状にできない場合があるため、事前に確認することが大切です」
屋根材の種類によっては、好きなデザインであっても勾配の関係上採用できないこともあるでしょう。そのような場合でも、工務店やハウスメーカーに相談すれば、理想のデザインに少しでも近づけるよう、さまざまなアイデアを出してもらえます。今回の記事を参考にして、理想のマイホームを実現してみてくださいね。
スーモカウンターに相談してみよう
「家づくりをどうやって進めたらいいのかわからない」「希望の屋根のデザインをかなえてくれる会社は?」など、住まいづくりにあたって、このような思いを抱いているなら、ぜひスーモカウンターに相談を。スーモカウンターでは、お客さまのご要望をお聞きして、そのご要望を叶えてくれる依頼先を提案・紹介します。
無料の個別相談のほか、「はじめての注文住宅講座」や「ハウスメーカー・工務店 選び方講座」など、家づくりの段取りや、会社選びのポイントなどが学べる無料の家づくり講座も利用できます。ぜひお問い合せください。
イラスト/杉崎アチャ